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カフェイン リスクを知ろう

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 九州地方に住む20代の男性がカフェイン中毒で死亡していたことが昨年12月に報じられ、衝撃が伝わった。男性はカフェイン入りの清涼飲料水を眠気覚ましに常用しており、血液から致死量のカフェインが検出されたからだ。コーヒーや茶に含まれ覚醒作用などがあるカフェインだが、過剰摂取は思わぬ副作用をもたらす。適量を心がけることが大切だ。

耐性、体格などで個人差

カフェインはコーヒー豆以外にも茶葉やカカオ豆などに含まれる食品成分で、抽出したカフェインを加えた清涼飲料水もさまざまな種類がある。錠剤でもカフェインは入手できる。飲料の含有量はメーカーが独自に決めている。

死亡した男性の解剖に当たった福岡大学の発表によると、男性は深夜営業の店で働いていた。亡くなる1年ほど前から眠気覚ましに「エナジードリンク」と呼ぶカフェイン入りの清涼飲料水を常用。カフェイン錠剤も飲んでいたという。

解剖の結果、血液から致死量を超える濃度のカフェインが検出された。急性のカフェイン中毒が死因とみられている。厚生労働省の生活衛生・食品安全部の担当者は「過去10年で食品によるカフェイン中毒の症例は報告されていない。九州の男性以外の死亡例は把握していない」と話している。

カフェインへの耐性には個人差があり、体格が小さい女性や子供は少量でも許容量を超える恐れがある。このため、目安となる数値を定めている国もある。カナダ保健省は健康な成人で1日400ミリグラム以下に設定している。これに従うと150ミリリットルのコーヒーカップで4杯半が目安となる。

一方、日本は過剰摂取を想定しておらず、最大摂取量の目安を設けていない。埼玉医科大学の野田光彦教授は「これまでの調査結果からすると、1日にコーヒーカップ3~4杯に抑えるのがよいだろう」と話す。カフェイン入り飲料を立て続けに何杯も飲むなど、極端な取り方をすると、中毒になる恐れがあるからだ。

カフェインを取り過ぎると血中濃度が急激に跳ね上がり、不眠や吐き気、震え、心拍数の増加などを招くことがある。精神面でも落ち着きがなくなったり、焦燥感を抱くようになるなどの影響があるとされる。

◇            ◇

また、カフェインの取り過ぎは「低カリウム血症になる原因の一つと考えられる」(野田教授)。カリウムの血中濃度が下がると不整脈や筋肉の細胞が壊れる現象などが起き、最悪の場合、死亡することもある。カフェインは利尿作用があるため、カルシウム不足の人が過剰摂取すると、カルシウムが多く体外に排出され、骨粗しょう症になる可能性が高まるといわれる。肝機能が弱い人は、高血圧になるリスクも上昇する。

妊婦がカフェインを過剰摂取すると危険だ。流産や胎児の発育の遅れを招く恐れがある。英国食品基準庁が定める妊婦の1日の最大摂取量は200ミリグラム。世界保健機関(WHO)は「コーヒーで3~4杯」を目安としている。カフェインの代謝機能が弱い子供も要注意だ。野田教授は「コーヒーは中学生くらいから飲み始めるのがよいのではないか」と提案する。

◇            ◇

一方、量を守ればカフェイン摂取の利点は多い。カフェインを取ると中枢神経系を刺激して眠気を抑えたり、集中力を高めたりする効果がある。加えて、血管を広げて血液の流れをよくする働きがある。腎臓の働きがよくなり尿が出やすくなる。

さらに、消化管を刺激し胃酸の分泌を促すという。女子栄養大学の浅尾貴子助教は「食後の満腹時にコーヒーを飲めば、カフェインが消化を助けて胃を軽くする効果がある」と解説する。

一度に複数、過剰の恐れ

コーヒーをよく飲む人に2型糖尿病の発症が少ないとの報告がある。因果関係は定かでないが、コーヒーに含まれる「クロロゲン酸」と呼ぶ物質とともに、カフェインが貢献している可能性がある。また、コーヒーをよく飲む人ほどパーキンソン病の発症率が低いとの疫学調査もある。カフェインは医薬品にも使われる。

浅尾助教は「どんな食品も偏って取り過ぎると弊害が出る」と話す。料理に欠かせない塩分や糖分と同様、取り過ぎは禁物だ。そのうえで「適量を意識してカフェインを楽しみ、食生活を豊かにしてほしい」と助言する。眠いときや疲れたときにカフェイン入り飲料を取るのは問題ないが、複数の種類を一度に取るなどして過剰になってしまわないよう、気を付けたい。

海外の摂取量基準を一つの目安にしながら、日々の体調も考慮してカフェインと上手に付き合うことが大切だ。くれぐれも、睡眠時間を削ってカフェインに頼り過ぎることのないようにしたい。

◇            ◇

メカニズムは解明途上 中毒、対症療法のみ

カフェインは植物から取れるアルカロイドという有機化合物の一種だ。ドイツの化学者が約200年前に、コーヒー豆から世界で初めてカフェインを分離したとされる。コーヒーなどの飲料を通じ世界中で親しまれてきたカフェインの摂取による効果や弊害は広く知られている。だが、詳細なメカニズムが完全に解明されたわけではない。

カフェインは、筋肉のエネルギーを作るアデノシンという物質に構造の一部が似ている。摂取するとカフェインがアデノシンの代わりに特定のたんぱく質にくっつき、細胞内で重要な役割を果たす分子が分解されるのを防ぐ。カフェインは中枢神経を刺激し眠気を払うなどの作用をもたらす。

分子レベルでカフェインの作用の仕組みを解明する研究も進んでいる。筑波大学の桑山秀一准教授(細胞生物学)は、カフェインの過剰摂取が細胞死を引き起こす仕組みを発見した。土壌微生物の一種である細胞性粘菌やヒト培養細胞で実験した。カフェインの刺激で作られたアラキドン酸が細胞死を促したという。

桑山准教授は「過剰なカフェインが重篤な中毒症状をもたらす分子メカニズムは不明だ。中毒症状への治療法はなく、今は対症療法に限られている」と話す。カフェイン摂取を急にやめると、頭痛や疲労感、眠気などが生じるという。

研究が深まれば、中毒の根本治療法開発や医薬品への一層の活用も進むかもしれない。

(山本優)

[日本経済新聞朝刊2016年1月31日付]

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