冬本番 着ぶくれしないスタイリング術

ダウンベストの活用を提案する政近さん(左)(東京都渋谷区のファッションレスキュー)=写真 塩田信義
ダウンベストの活用を提案する政近さん(左)(東京都渋谷区のファッションレスキュー)=写真 塩田信義
一年で最も寒いこの時期、冬本番の天候が続いている。急に厚手のセーターにダウンコート、大判ストールをクローゼットから出した人も多いのではないか。ただ、これらボリュームアイテムを着込むと、モコモコと着ぶくれてヤボったくなりがち。暖かさとおしゃれを両立させるスタイリング術を、プロに学ぼう。

「X・I」ライン意識して

「寒さが苦手で職場にもダウンコートを着ていきたいが、カジュアルすぎないか、太って見えないか心配」と話すのは、都内で働く森敦子さん(36)。ダウンコートは暖かいが、おしゃれという点では難しい。

ダウンベストの活用を提案する政近さん(左)(東京都渋谷区のファッションレスキュー)=写真 塩田信義

そんな悩みに「ダウンベストをウールコートの下に着るとよい」と提案するのは、ファッションレスキュー(東京・渋谷)代表でプロパーソナルスタイリストの政近準子さんだ。「袖のないベストは、コートの下に着てもモコモコしない。ストレッチ性のあるダウンなら、なおすっきり」。

政近さんは、コートのボタンは留めず、ダウンベストを見せるよう薦める。「ベストのジッパーを閉めず、ベルトでウエストマークすればXラインができ、着やせして見える」という。ベルトだけでたちまちあか抜ける。フード付きベストなら「フードを襟の外に出すと、若々しく見える」。

コートの下にロングカーディガンを着てフロント部分を見せ、縦長シルエットのIラインを作るのもいい。「Iラインというと、ストールを前に垂らす方法もあるが、ロングカーディガンなら袖と背中がある分、暖かい」と政近さん。

どのスタイルも全身のバランスが大切。「決め手はシルエット、素材、色のメリハリ」だ。例えば上半身がスポーティーなダウンベストなら、下半身はふわりと揺れる膝丈スカートでフェミニンさと軽快感を。「暖かい下着とタイツをはけば、スカートが多少薄手でも大丈夫」(政近さん)。

色でありがちな間違いが黒色の使い方。政近さんは「全身黒は確かに面積が縮小されて見えるが、重たく感じる。思ったほどやせ効果はない」と指摘する。トップスには冬空に映える明るい色、ボトムには暗めの色で引き締めるのもよい。

暖かさを求めるなら、分厚い服1枚よりも、重ね着がお薦め。暖かさを保つコツは体の熱を閉じ込めて逃さないこと。重ね着で動かない空気層を作るといい。インナーと薄手のセーターを重ねる方が、暖かそうなざっくり編まれたセーター1枚より、はるかに暖かく、モコモコして見えない。

さらに視覚効果を狙うなら「コートの袖口を巻き上げ、手首を見せるのも一手だ」と政近さん。きゃしゃな部分を出すと、洋服とのギャップでやせて見えやすいという。Vネックセーターで鎖骨を出すのもいい。

進化するインナー、重宝

脱・着ぶくれの強い味方は高機能インナーだ。複数のメーカーが独自の発熱・保温効果をうたう商品を開発している。10年ほど前までは「ババシャツ」と呼ばれ、若い女性に敬遠されていた防寒下着が、今では冬のおしゃれに欠かせないアイテムとなっている。

「高い吸湿発熱性をもつ泥温泉の粘土鉱物を生地に施した物や、ショウガ成分と遠赤外線放射機能を加えた物が人気」と話すのは、トリンプ(東京・中央)の今井悦子さん。「暖かいだけでなく、薄くてアウターに響きにくいこと、体にぴたっとフィットする伸縮性に優れた素材であることも、高機能インナーの重要な条件」という。

裏起毛の服やインナーも注目されている。裏起毛とは、内側の毛の表面を特殊な加工で毛羽立たせたものだ。繊維がふわっと毛羽立つことで生地のボリュームが増し、空気を多く含むため保温性が高くなる。

暖かさとおしゃれを両立させるには、見えない部分に保温アイテムをしっかり仕込み、メリハリあるスタイリングを。真冬のファッションを楽しもう。

(ライター 松田 亜希子)

[日経プラスワン2016年1月30日付]