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網膜の病気 早期診断で進行防ぐ

「中央見えづらい・ゆがむ」失明の危険も

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NIKKEI STYLE

 高齢化が進むにつれ目の病気に悩む人が増えている。なかでも網膜の病気は年をとってからの失明原因の上位を占める。早めに病気を見つけて生活習慣に気をつけ、こまめに診断を受けて適切な治療を受ければ症状の悪化を遅らせられるケースも多い。新たな治療法の研究開発も活発で、期待のもてる成果が出始めている。

画像診断で病変克明に

「60代以上を中心に、1日に何十人もの患者さんを診ることもある」。日本大学病院(東京・千代田)の副病院長・アイセンター長の湯沢美都子教授は「加齢黄斑変性」の患者の急増を実感している。視力が1.0あり自覚症状はないが、眼科検診で「疑いあり」と言われてやってくる人もいるという。

加齢黄斑変性は映像を映し出すスクリーンに相当する網膜の真ん中にある、直径6ミリメートルほどの黄斑という部分の障害によって起きる。真ん中がよく見えず、正面に知り合いがいても顔がわからず挨拶もできないなどのケースが出てくる。

物がゆがんで見えるのも特徴で、車の運転も難しくなり日常生活で不便を強いられる。ひどくなると視力が大きく低下し、失明する。

日本では50歳以上の1~2%がこの病気にかかっているとの報告がある。網膜の外側の脈絡膜から異常な血管が生じ、漏れ出した液体成分や出血のために網膜が浮き上がる「滲出(しんしゅつ)型」が多い。

早期では自覚症状がなくても、眼底検査で黄斑にドルーゼンと呼ばれる白っぽいシミのようなものが見える。こんなとき、湯沢教授は「急に見え方が変わったらすぐに来るように」と伝える。

加えて、生活習慣に気をつけるように助言する。たばこは吸わない、日射を避けて波長の短い青い光をカットするサングラスをかける、などだ。緑黄色野菜に含まれる色素の一種であるルテインや、青魚などに含まれ抗酸化作用が高いオメガ3脂肪酸などを積極的にとることも勧める。

加齢黄斑変性には、複数の製薬会社から効果的な薬が出ている。異常な新生血管の成長を妨げる抗VEGF(血管内皮増殖因子)薬だ。医療機関で眼球の硝子体内に注射してもらう。網膜自体が傷んでいなければ、視力の回復につながる。

この薬はまず1カ月に1回、計3回注射するのが基本だ。以後、湯沢教授は「トリート・アンド・エクステンド」という方法を採用し、状態がよければ6週後、8週後、10週後と徐々に注射の間隔を開ける。

患者にとっては通院回数や費用の負担が減らせる利点がある。治療は1回10万円以上する。国の健康保険が使えるものの、高いと思う人は多いだろう。

最近は光干渉断層計(OCT)と呼ぶ装置で網膜の断面の画像が得られ、黄斑の形状が手に取るようにわかる。病変に応じて治療方針を決めやすくなった。

網膜の病気はほかにもある。代表例が黄斑周辺部の、暗い所を見るのに使う桿体(かんたい)細胞が機能しなくなる「網膜色素変性」だ。遺伝的な要因で起きるとされ、「徐々に症状が進むが夜も照明が明るいので気づかず、働き盛りの40~50代で自覚する場合が多い」と小口芳久慶応義塾大学名誉教授は指摘する。

視野が狭まり視力も低下して仕事や生活に支障が出るほか、失明することもある。今のところ根本的な治療法はない。進行を遅らせるには、加齢黄斑変性と同様にたばこをやめ、太陽光やパソコン画面の青い光を避けた方がよいという。

◇            ◇

日本の研究者が創業したバイオベンチャーの米アキュセラ・インク(ワシントン州)は、加齢黄斑変性や網膜色素変性に使える可能性のある新しい飲み薬を開発中だ。視細胞と網膜色素上皮細胞では光を電気信号に変えるために「視覚サイクル」という仕組みが働いている。

ただ、強い光が当たると過剰活動が起きて有害な副産物ができる。これが病気のもとになると考え、視覚サイクルにブレーキをかける戦略だ。

すでに新薬候補を見つけ、米国で508人の加齢黄斑変性の患者に対して臨床試験を実施中だ。今年6月ごろに結果が出る見通しで、効果が確認できれば米食品医薬品局(FDA)に承認申請をする。

今回の対象は米国に多い萎縮型と呼ぶタイプだが、「視覚サイクルという根本原因に働きかけて治すので(日本人に多い)滲出型でも効果が期待できる」と創業者の窪田良会長兼社長兼最高経営責任者(CEO)は話す。網膜色素変性や糖尿病性網膜症などにも適応拡大できる可能性があるとみる。

◇            ◇

日米欧で研究・臨床進む 電極で刺激/iPSから網膜細胞

失明や著しい視力低下は生活の質(QOL)や労働生産性を大きく下げる。様々な手法で、網膜の病気に対処する動きが出ている。

日本や米国、ドイツで実用化に向けた研究が進むのが「人工網膜」だ。センサーがとらえた画像を処理して電極で網膜の神経細胞を刺激し、光を認識させる。網膜色素変性の症状が進んでも「視神経の4割程度は機能することが多い」(小口慶大名誉教授)とされ、これをうまく使う。

いろいろな細胞に育つiPS細胞を活用した再生医療にも期待が集まる。理化学研究所の高橋政代プロジェクトリーダーらは加齢黄斑変性の70代の女性にiPS細胞から作った網膜細胞のシートを移植する手術を2014年に実施した。移植後1年たってもがんの発生などはなく、視力の悪化が止まるなど一定の効果がみられた。将来は網膜色素変性の治療も目指している。

新しい治療法の多くは、まず米欧で普及しそうだ。人工網膜の患者治療はドイツが先行している。大阪大学の不二門尚教授らが新方式を使った臨床試験を来年にも始め、これを追う。アキュセラは米国で新薬の承認を取得後に、「リスクをとることに、より慎重な日本」(窪田会長)への投入を検討する。高齢化が加速するなかで、安全性は確保しつついかに患者ニーズに迅速に応えるかが課題だ。

(編集委員 安藤淳)

[日本経済新聞朝刊2016年1月17日付]

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