台湾生まれ 日本語育ち 温又柔著自分は誰なのか、真摯な思索

(白水社・1900円 ※書籍の価格は税抜きで表記しています)

表紙の写真を見てほしい。著者の温又柔さんの自己認識を正確に映し出したような、やどかり。温さんは紛れもない「日本語作家」である。3歳のときから、もう何十年も日本に住んでいる。でもどこかやどかりのようにして、日本語に住んでいる、という。「国籍は、台湾」。そこにきざすズレを、温さんは見逃さず、自分の問題として引き受け、あるときは傷つき、あるときはユーモアを交えながら、出来事をできるかぎり書きつける。

運転免許の書き換えに行ったときに突きつけられた、ズシリと重い「法的事実」も、温さんはちょっとユーモラスに、でもやり場のない感情を抱えたまま、考える。自分はいったい誰なのか、と。真摯な思索の成果である。

★★★★

(批評家 陣野俊史)

[日本経済新聞夕刊2016年1月14日付]

★★★★★ 傑作
★★★★☆ 読むべし
★★★☆☆ 読み応えあり
★★☆☆☆ 価格の価値あり
★☆☆☆☆ 話題作だが…

台湾生まれ 日本語育ち

著者 : 温 又柔
出版 : 白水社
価格 : 2,052円 (税込み)