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遺伝子検査どこまで信頼? 政府、質担保へ規制検討

病気のリスク手軽に判定/異業種も参入

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NIKKEI STYLE

 この先太ってしまうのだろうか、髪はどうなる、重い病気には――。将来の自分の健康状態を予測し、生活改善などにいかす遺伝子検査。手間や費用負担は比較的軽く、利用が広がりつつある。ただ検査の質などを不安視する声もあり、政府は法規制に向けた作業部会を立ち上げた。これを警戒する企業側は独自の認証制度を始める計画で、検査のあり方を巡って議論が活発化している。

「どうしてこんなに低いんだろう」。東京都の中村岳さん(35)は昨年4月、自らの遺伝子検査の結果が示されたパソコン画面に見入った。驚いたのは「85歳まで生きられる可能性」の項目。日本人では1%しかいない「可能性が低い」に分類された。

中村さんはオンライン英会話サービス「レアジョブ」の社長。健康不安があっては経営に影響が出かねない。

ただよく見ると、この項目の信頼性は3段階で最も低い「1」だった。検査結果は欧州人のデータに基づく推測のため、日本人にどこまで当てはまるかは不明だ。数カ月後には最新の研究を反映し、結果も更新。生きる可能性は「やや低い」へと改善されていた。

料金は1万円から

遺伝子検査はインターネットで1万~3万円ほどの検査キットを注文し、所定の容器に唾液を入れ、送り返すという手順が一般的。病気や体質のリスクが統計的に判定され、数週間後にはネット上で確認できる。糖尿病やがんなどの発症しやすさや太りやすさなど項目は数百に及ぶ。

ヤフーやディー・エヌ・エー(DeNA)などが参入、手軽さから人気を集めている。調査会社の富士経済の推計では2015年の国内市場は44億円と、前年から8割も増えた。

現状では遺伝子検査ビジネスに規制はなく、各社は自由に参入できる。仮に検査や分析の技術に乏しい会社が低価格だけを売り物に利用客を集めたとしても、排除する仕組みはない。

「日本は無法地帯じゃないか」。昨年2月の厚生労働省の審議会。委員から法規制を求める声が相次いだ。これを踏まえて同省は検査の質を担保するための規制を検討中だ。

11月には経済産業省や文部科学省などとともに医療や法律の専門家らによる作業部会を設置。設備や人員、作業手順が基準を満たした施設だけに検査を認める仕組みを想定して具体化を進め、来年の通常国会への関連法案提出を目指す。

企業側はこうした動きを懸念している。手掛ける企業は資本力が小さいベンチャーが多く、規制が市場成長の上での重荷になるとみているためだ。

独自の認定制度も

業界団体「個人遺伝情報取扱協議会」(東京・渋谷)は規制に先んじて昨年10月、独自の認定制度を立ち上げると発表した。▽検査施設を明記する▽分析結果に論文などの科学的根拠を記す▽利用者にわかりやすく説明する――などの基準を満たした企業に、今年4月にも認定マークを付与する。「優良サービスを選ぶ手掛かりにしてもらい、制度が定着すれば法規制は不要ではないか」(幹部)

政府内でも意見は分かれている。産業の育成を目指す経産省は「現状、具体的なトラブルは発生していない」(生物化学産業課)と規制に慎重だ。厚労省の「問題が起きてからでは遅い」(幹部)という姿勢との隔たりは大きい。

遺伝子検査で判断されるのは遠い将来のリスク。解析手法の専門性も高く、利用者は結果を受け取ってもどこまで正確なのか、すぐ評価することは難しい。

世界的に遺伝子に関する研究は進んでいる。ただ北里大学の高田史男教授(臨床遺伝医学)は「遺伝子と病気や体質との関係は未解明のものも多い。さらに罹患(りかん)リスクなどは生活習慣によっても大きく左右される」と指摘する。そうした前提なしに利用者が検査結果を受け止めると、結婚や出産、仕事を進める上での判断などに影響する可能性がある。

企業の自主的な認証制度によって、検査ビジネスの信頼性は高まっていくかどうか。それが難しければ法規制の流れが強まることになりそうだ。

◇            ◇

欧米、法整備進む 医師の関与必須・差別を禁止

海外では米国などがすでに、遺伝子検査に対する法規制を設けている。厚生労働省研究班の調査によると、米国では遺伝子検査キットは医療機器にあたるため、連邦政府の承認が必要。13州では同検査事業を手掛けることを禁止している。ドイツやフランスでは医師など専門職の関与を求めており、企業のみでは事実上、事業を行えない。

利用者の不安に配慮して、検査の前後にカウンセリングを義務付けているのも海外の法規制の特徴だ。独仏のほか、オーストリアなどでは医師などが相談に応じる。

企業に対し、遺伝子検査の情報に基づく差別を禁止している国も少なくない。米国、独、仏などでは企業の採用や保険加入の判断で遺伝子情報を使うことを原則禁じている。ただ独では生命保険で30万ユーロ、年金保険で年3万ユーロを超える大型契約に限ると、既に行われた遺伝子検査の情報提供を求めることが許されている。

(山崎純)

[日本経済新聞朝刊2016年1月10日付]

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