RPG 指先の大冒険 スマホ舞台に本格派
操作性や画質が向上
スマホのタッチパネルに当てた指を左右に動かすと、その動きに従ってキャラクターが移動を始めた。タップで敵に斬りかかり、長押しすると技を発動して敵を一掃した。
親指だけで操作
コロプラが提供するスマホアプリ「白猫プロジェクト」は、操作のしやすさで多くの利用者を獲得する。開発に携わった浅井大樹プロデューサーは「片手の親指だけで操作でき、気軽にどこでも遊べることを心がけて開発した」と力を込める。
操作性を支えるのは「ぷにコン」と呼ばれる独自のキャラクター操作方法だ。ゲーム専用機のコントローラーと同等の操作性を指1本で実現した。タップや長押し、液晶に指を滑らせる「フリック」などの操作に応じて、キャラクターが技などを披露。直感的な操作のためゲーム操作に苦手意識のある人でも親しみやすい。キャラクターがプレーヤーの意図するままに動くよう調整を重ねているという。
コロプラによると、リリースは昨年7月だが既に7100万ダウンロードを突破しているという。同社が配信するアプリでは最多のダウンロード数を誇る。浅井プロデューサーは「少し遊んだだけで操作方法が分かる点が受けている。長く遊んでもらうため今後も新ステージなどをつくっていく」と話す。
サイバーエージェントのゲーム子会社、サイゲームス(東京・渋谷)が提供するスマホゲーム「グランブルーファンタジー」は美麗なイラストや壮大な音楽、ストーリーなどで注目を集める。人気ゲーム「ファイナルファンタジー」を手掛けた担当者らが開発に加わっている。
キャッチフレーズは「君と紡ぐ、空の物語」で、空に浮かぶ島々が舞台だ。同社の取締役でプロデューサーも務める春田康一さんは利用者がゲームの世界にのめり込めるよう細心の注意を払う。「キャラクターや声優の人の演技、劇中の音楽、背景イラストなど全ての点で作品の世界観を壊さないよう考慮して作っている」と力を込める。
登場するキャラクターは400人強に上るが、1体のキャラクターのせりふやデザインなどを考えるのに4~8カ月程度かけることもあるという。
数分の隙間時間に
主な利用者は30代前半から半ばの男性だ。任天堂のファミリーコンピュータ(ファミコン)に熱狂し、ファンタジー世界を舞台にしたゲームに親しんだ世代から特に支持を得ている。
スクウェア・エニックスは人気ゲーム「ドラゴンクエストモンスターズ」シリーズのスマホ向け作品「ドラゴンクエストモンスターズ スーパーライト」が好調だ。攻撃は敵をタッチするだけで、フリック操作で地図上を移動できる。スマホの特徴をうまく取り入れ、快適な操作性を実現した。
通勤や通学の「隙間時間」にプレーできるよう、1つのダンジョンでの戦闘が数分で終わるように作り上げた。遊びやすいため、利用者は20代後半から45歳程度までと幅広い。ダウンロード数は1600万を突破した。
スマホは家庭用ゲーム機と競合する印象もあるが、同社の柴貴正プロデューサーは「スマホの普及によって、ゲームの楽しめる環境は整ってきた。これまでゲームに興味の無かった新たな層を獲得できる」と肯定的だ。今後もスマホに焦点を当てたゲームアプリが相次いで登場しそうだ。
(企業報道部 黒田弁慶)
[日本経済新聞夕刊2015年12月24日付]
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