N
ライフコラム
子どもの学び

金星が明け方と夕方にしか見えないのはなぜ?

2015/12/8

子どもの学び

金星は明け方と夕方にしか見えないね。なぜ?

スーちゃん 日本の探査機「あかつき」が7日に金星を回る軌道(きどう)に入れるか再挑戦するってニュースで見たよ。成功するといいな。そういえば、金星は朝と夕方にしか見えないよね。なんでかな。

地球よりも太陽の近くを回っているからだよ

森羅万象博士より 宇宙航空研究開発機構(JAXA)が開発したあかつきは2010年に打ち上げられた。金星の近くまで行ったけど、エンジンの故障で周回する軌道に入れず、再び近づくのを待っていたんだ。

金星を「明けの明星(みょうじょう)」や「よいの明星」と呼ぶのは知っているかな。日の出のころに東の空に見えるのが明けの明星で、よいの明星は夕方に西の空に見える。ちょうど今ごろは朝焼けにうかぶ細い月のそばにあるよ。

おおいぬ座のシリウス、こいぬ座のプロキオン、オリオン座のベテルギウスを「冬の大三角」と呼ぶのは授業で習ったよね。金星はこれらの星よりもずっと明るい。太陽、月の次に明るいんだ。

金星は惑星(わくせい)だから月と同じように太陽の光を反射して輝く。明るく見えるのは地球から近いことに加えて、分厚い雲におおわれて光をよく反射するからだ。そんな明るい星が夜中に見えないのはなぜだろう。太陽と金星、地球の位置が関係しているんだ。

惑星は太陽から近い順に水星、金星、地球、火星、木星、土星、天王星、海王星と並んでいる。金星は水星とともに地球よりも太陽に近いところを回っている。こうした星を「内惑星」、火星や木星のように地球の外側を回る星を「外惑星」と呼ぶ。

内惑星は地球から見ると、いつも太陽の側にある。だから夜中に見えることはない。昼間は空が明るいのでわからない。それで見えるのは朝か夕方ということになる。

望遠鏡で見ると、金星は月のように満ち欠けする。地球から見て金星が太陽の先にあるときは丸い形をしている。でも地球からはなれるから、見かけの大きさは小さい。

地球に近づくと大きく見える。でも太陽に照らされている面の大部分がかくれるから大きく欠けた形になる。最も近づいたときは光が当たる面が反対側にあるから、新月と同じように地球からは見えない。三日月のような形のときに最も明るく見えるんだ。

金星は地球とほぼ同じ大きさだ。地球と同じように岩石でできていて密度(みつど)も近い。地球のすぐ外側の火星も岩石でできているけど、大きさは地球の半分でかなり軽い。地球と金星はにているから「双子星」や「姉妹星」と呼ばれる。なりたちもにていると考えられている。

でもちがうところも多い。金星の自転周期はおよそ243日もある。公転周期が約225日だから、太陽の周りを1周しても金星は1日が終わっていないことになる。しかも、地球などの他の惑星とは自転の向きが逆なんだ。「西からのぼったお日様が東へしずむ」ことになってしまう。

金星は地面の温度がセ氏460度にもなり、上空には秒速約100メートルと台風よりもはるかに強い風が吹く。雲がすきまなくおおっている。探査機あかつきはこうしたなぞに迫ろうとしている。9日には成功か失敗かわかるそうだ。成功するように、みんなでおいのりしよう。

■灼熱地獄、二酸化炭素が原因

博士からひとこと 金星もむかしは地球のように水でおおわれていたらしい。それが灼熱(しゃくねつ)地獄(じごく)になったのはなぜだろう。太陽に近いから? それもあるね。でも金星の温度は太陽に最も近い水星よりも高いんだ。
 その原因は二酸化炭素の「温室効果(おんしつこうか)」だと考えられている。太陽から届いた熱を吸収して宇宙ににがさないようにする働きだ。農業で使う温室の仕組みとにているから、そう呼ばれるんだ。
 地球では大気中の二酸化炭素の割合は0.04%ほどなので、生物がくらせるちょうどよい気温になっている。金星では約96%にもなるから、とんでもない温暖化が起きているんだね。

(取材協力=縣(あがた)秀彦・国立天文台准教授)

[日経プラスワン2015年12月5日付]

注目記事