アプリでワイン通に 好みの味を検索、漫画で用語知る
ストーリーから入る
東京都中央区在住の会社員、滝谷翔さん(26)が愛用するのは人気漫画「神の雫」の電子コミックアプリ(無料、6話以降は有料)。ワイン漫画をスマホで読めるだけでなく、漫画に登場したワインやワイン用語をリストアップする機能つきだ。「難しいと思っていたワインの世界が、ストーリーからだと入りやすい」(滝谷さん)という。
神の雫はワイン評論家の父親を持ちながら全く知識がない主人公が、父の遺言を手掛かりに幻のワインを探し求める物語。奥深いワインの世界を、素人にも分かりやすい表現で描いている。漫画に登場した銘柄が店頭で品薄になるなど、実際のワイン消費にも影響を与えている。
電子コミック販売を手がけるフロンティアNEXT(東京・渋谷)の小川雄亮社長は「漫画を読むだけでなく、現実とリンクさせて楽しんでもらえるアプリにした」と開発の思いを語る。
ワインや用語のリストから漫画の場面に瞬時に飛べるのも電子書籍ならではだ。漫画のシーンと結びつけて、ワインを身近に感じられる。フロンティアNEXTの電子コミックの中でも人気は高く、ダウンロード数は10万を超える。
お店で飲んだワインを記録しておくのに便利なアプリが「Wine it!」(無料)。ラベルを撮影するだけで、銘柄・味・価格などの情報をリストアップし、自分だけのワインノートが作れる。自分の好みを分析して、自分に合ったワインを検索する機能もある。そのワインがどんな味わいか、客観的なテイスティングデータも見られるので、「なんちゃってソムリエ」を演じることもできる。
ワイン好きが高じてこのアプリを開発したというゼータ・ブリッジ(東京・品川)の安藤尚隆代表取締役は「ラベルは何となく覚えていても名前が分からないことが多い。少なくともおいしいワインは覚えておけるようにと考えた」と話す。
その日の気分で探す
Wine it!は一般に流通しているワインを幅広くカバーしており、ラベルから登録できるワインは1万2千銘柄以上。2千~4千円程度の銘柄が多く、手が届きやすい。
予算をもとに検索して、ネットでそのまま購入もできる。「今日は決める」「ファンキーな気分」など、その日の気分を選んで、それに合ったワインを探すユニークな機能もある。ホームパーティーに何を持って行くか迷ったときにも使えそうだ。
おいしいワインの悩みどころは、ついつい飲み過ぎてしまうことだ。特に忘年会シーズンは酒量をうまくコントロールしないと、仕事に支障が出てしまう。
体調管理に便利なのが、NOHT(京都市)が開発した「alcCalc(アルクカルク)」(無料)だ。飲んだお酒の種類と量を入力すると、アルコールの分解時間を予測してくれる。あと何時間で酔いが冷めるか目安になる。
ツイッターなどとも連動しており、「二日酔いはまだ大丈夫」「明日は使い物になりません」など、ほろ酔い気分をつながっている友人と共有できる。大量に飲むと背景が宇宙になるなど遊び心もあり、「デザイン性の高さも好評」(NOHT)という。
おいしいお酒と楽しい話題があれば、酒席は盛り上がる。気軽なアプリを使って、ひと味違った忘年会にしてみてはいかがだろうか。
(証券部 福井環)
[日本経済新聞夕刊2015年12月3日付]
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