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クリスマス伝統菓子 お手軽レシピ

2015/12/1 日本経済新聞 プラスワン

クリスマスの楽しみの一つがおいしい菓子。華やかなデコレーションケーキはもちろん魅力的だが、最近少しずつ知られるようになった「シュトーレン」など欧州の伝統的な焼き菓子も味わい深い。歴史や文化に思いをはせながら、この時期ならではの菓子を楽しんでみてはどうだろう。

■香り・形に歴史の味わい

まずは、初心者でも簡単に作れる伝統的なクッキーから。東京製菓学校講師の益田一亜輝さんお薦めは、スパイスクッキー「スペキュロス」と三日月型のクッキー「バニラキプフェル」だ。益田さんは「材料を混ぜて焼くだけ」と話す。

スペキュロスはスパイスの風味とかりっと硬めの口当たりが特徴。通常のクッキー材料にシナモンやナツメグ、ジンジャーなど香辛料を入れる。カソナードと呼ぶ精製されていない糖を使うことが多いが、無ければ「きび砂糖や三温糖で代用できる」(益田さん)。

生地を最低3時間、できれば半日寝かせるのがコツだ。生地は通常のクッキーより柔らかく、寝かせると扱いやすい。聖人などの木型を押して成形する。無ければ好みの型で抜く。ストローで穴をあけ、リボンを通せばツリー飾りにも。

歴史は古い。4世紀に実在した司祭で、子どもの守護聖人のサン・ニコラにちなむという。フードジャーナリストの並木麻輝子さんは「ベルギーでは子どものクリスマスとされる12月6日に食べる」と説明する。

バニラキプフェルはアーモンドパウダー入りで軽い口当たりが特徴だ。三日月型は魔よけやトルコ軍との戦いにちなんだという説がある。「手で成形でき、さらに簡単」(益田さん)。

本場欧州の伝統クリスマス焼き菓子の中でもドイツの「シュトーレン」は日本で人気が増している。この数年、国内パティスリーでも製造販売するようになり、栗入りや抹茶味など日本独自の商品もある。

講習会でシュトーレンを作る参加者(東京都中央区の銀座クッキング)=写真 塩田信義

手作りする人も徐々に増えている。銀座クッキング(東京・中央)は2年前にシュトーレン教室を開講した。「今や人気講座」と同教室の石黒弥生さん。11月半ばの教室は30~50歳代の女性が挑戦した。

薄力粉と強力粉にイースト菌とバターなどを加えた生地に、洋酒漬けのドライフルーツ、ナッツ、シナモンなど香辛料を加えてこね、2回の発酵後に焼く。ずんぐりとした細長の形は「生まれたばかりのキリストのおくるみ姿を模したとされる」と講師の松本一美さんは由来を話す。

焼いた後に溶かしバターをたっぷり塗り、砂糖をまぶす。「発酵時間も短く失敗も少ない。バターが多いので、最初はべたべたしているが、すぐになじむ」(松本さん)。ローマジパンを加えるとより本格的な仕上がりに。参加した女性は「難しそうだと思ったが意外に簡単。我が家の定番になりそう」と話す。

■聖夜の足音 楽しむお供

欧州のクリスマス菓子は、キリスト教とともに発展してきた。日本では24日のイブにケーキを食べるが、「本場ではイエス・キリストの誕生日を指折り数えて待ちわびる『アドベント』の4週間に食べられることが多い」と並木さんは説明する。

ドライフルーツをぎゅっと固めたような「ベラベッカ」は、フランスの菓子で、中世から作られていたと言われる。薄く切りながら少しずつ食べる。

イタリアには発酵菓子でドーム型の「パネットーネ」や、ドライフルーツなどの入らない大きな星型の「パンドーロ」がある。「パンドーロは食べる直前に粉糖をまぶす。生地の断面が黄金色なのは、卵がたっぷり入るため」(並木さん)

粉糖をまぶしたり、食べる直前にふりかけたりする菓子が多いが、粉雪を表しているともいわれる。日持ちする物が多いのは、長い冬の保存食も兼ねていたからだという。見た目は地味ながら、ナッツやドライフルーツ、スパイスの風味は食べるほどにクセになる。背景を知れば、味わいがさらに増すはずだ。

(ライター 糸田 麻里子)

[日経プラスワン2015年11月28日付]

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