銭湯、スマホで検索 歴史学び検定試験挑戦も
場所や営業時間も調べる
10月の日曜日の朝。都内在住の30代男性会社員は東急田園都市線池尻大橋駅に近い銭湯「文化浴泉」(東京・目黒)に足を運んだ。銭湯巡りは趣味の一つ。通常の営業時間は午後3時半からだが、日曜は朝8時から朝風呂を楽しめると知ったからだ。
廃業情報をカバー
この情報は、地図上に銭湯を表示し営業時間などの関連情報もわかる検索アプリ「銭湯マップ東京」で仕入れた。東京都浴場組合のデータベースをもとに、都内にあるすべての銭湯を網羅している。
アプリの利用者から廃業した銭湯の情報などを収集しているので、行ってみたら銭湯がもうなかったという心配はほとんどない。銭湯の近くに行くとスタンプを押してもらえる機能も備え、スタンプラリーを楽しむことができる。
「施設が清潔で好印象。休息所も広く、長居しても大丈夫なのがいい」と、文化浴泉に行った男性は満足げ。次は渋谷区内の銭湯に行くつもりだ。
「東京には○○など江戸時代に創業した銭湯が何軒か残っている。その答えは」――。日本銭湯文化協会が実施している「銭湯検定4級」の50問からランダムに20問を出題するのが、アプリ「銭湯検定」だ。各問題の解答時間は20秒で最後に正解率が表示される。移動中などにスマホで気軽に勉強できる。
都内に住んでいる銭湯好きの30代の男性はこのアプリを使い、約2カ月で検定試験に合格した。「ゲーム感覚で銭湯について学べるし、復習するにも便利」と話す。銭湯の歴史などに関する知識を気軽に、楽しく深められるのがポイントだ。
江戸に最初の銭湯ができたのは、1591年といわれる。何百年もの歴史をもつ銭湯は現在、減少の一途だ。風呂を備えた住宅の普及や後継者不足、都市再開発などが背景にある。
設備情報も提供
既存の銭湯のなかには、改装によっておしゃれ空間に生まれ変わった施設も登場。家の風呂ではなく、プチぜいたくを楽しみたい女性や、近所にいながら旅行気分を味わいたい人、日本文化を体験したい訪日外国人などの人気を集め、銭湯の新たなファンが増えつつある。
2014年3月現在、銭湯を含む一般公衆浴場の数は全国に4542カ所。しかし、銭湯のようなローカル情報を一元的に把握するのは結構、難しい。旅行中や出張時に地元の銭湯を探す際に役立つのが、北海道から沖縄までの情報を網羅し、地域別の検索ができるアプリ「いい湯なび」だ。営業時間はもちろんのこと、サウナや露天風呂の有無、駐車場などの施設情報を提供するので、車で行くときに便利だ。
広い湯船でリラックスするのもいいし、地元の人や訪日外国人などと「裸の会話」を楽しむのもいい。銭湯は改めて、交流の場として注目されている。今回、紹介したアプリはすべて無料。とことん活用すれば、銭湯がより身近になり、楽しみ方の幅が広がるだろう。
(電子編集部 ゼンフ・ミシャ)
[日本経済新聞夕刊2015年11月19日付]
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