魚焼きグリルで肉・野菜料理も 余熱でじっくり

秋はサンマがおいしい季節。今年は不漁で昨年よりも高値がついているが、旬の味覚は我慢できない。記者(34)はスーパーで買って帰っては焼いている。ただ、我が家のコンロ内蔵型グリルで、きれいに焼き上がる魚を見ているうちに、何かほかの料理に使えないかと考えるようになった。

鶏もも肉のグリルやサケのホイル焼き、牛肉のステーキなどを試した。我が家のグリルは両面焼きで、自動消火機能付き。庫内の温度が上がりすぎると火が消える。音で知らせてくれるので、調理中はほったらかしでいい。ステーキは分厚いせいか、中がやや生っぽかったが、ほかはまずまず。でもこれはほぼ想定していた。もっとレパートリーを広げられないか。

■焦げつきの防止 弱火がポイント

クッキーは面白そう。しかし結果はさんざんだった。網目に直接載せて焼いたら焼きムラがひどい。ならば、とアルミホイルを敷いた上に置いてみたら黒焦げに。とても人には食べさせられない。

そこで訪ねたのが、東京ガスのキッチンスタジオ。同社の「食」情報センターの杉山智美さんに黒焦げクッキーの写真を見せたら「弱火にしましたか?」。庫内は一気に300~400度の高温になる。クッキーなど火が通りやすいものは弱火にしないといけないらしい。「余熱を使うのがコツ」とも。中までしっかり火が通るという。

オーブンとは違ってじか火のグリルは多少の焼きムラは生じる。チョコレートやココアパウダーで茶色くするとムラが目立たなくなるそうだ。

スタジオの両面グリルで実演してもらった。上下弱火で5分焼いたら、火を止めて15分。別売りのアルミ製のグリルプレートを使うことで焦げを防ぐ。クッキーの厚さは約5ミリまで。それ以上になると上が火に近づき焦げやすくなる。完成品はサクサクと香ばしい。焼きムラも気にならない。オーブンとちがって、予熱が必要ないのも手軽だ。

ほかに簡単にできるレシピはないか。教わったのはゆで卵とからあげ。ゆで卵はぬらしたティッシュで卵をくるみ、さらにアルミホイルで巻く。上下強火で10分。固ゆでにしたい場合は、消火した後に5分置く。

からあげは、しょうゆ、酒、おろしショウガに漬けた鶏もも肉に片栗粉をつけておく。グリルに並べてハケでサラダ油を少量つける。上下強火で約9分で出来上がり。試食したら、外はかりっと軽い食感で、中はしっとりとジューシー。揚げたものより衣は薄いが、その分ヘルシーだ。余分な脂も落ちている。

グリルはじか火で焦げ目をつけるだけでなく、庫内を対流する熱で食品の中まで火を通せる。さらに「揚げる、煮る、蒸すの調理もできます」と杉山さん。揚げ物の温め直しにもいいという。

帰宅後、鶏のからあげに挑戦。指定の時間より1分ほど前に良い香りが立ったので、開けてみたらもう揚がっている。一部焦げたが、まあまあおいしそう。一口食べてびっくり。スタジオの味とそっくりだ。からあげ好きの友人にも食べてもらうと「サッパリしていておいしい」。

続いてクッキー。スタジオではグリルプレートを使ったが、うちにはない。「アルミホイルを何枚も重ねたものを使ってみては」(杉山さん)。その通りにして火加減、余熱を意識した。なのに……形が割れて不格好に。そして下面は生っぽい。もう1度焼いてみたが、表面だけ焦げて火が通らない。次は上にもアルミホイルをかぶせて焼いた。今度は見た目は普通のクッキー。だけど中がパサパサだ。

ガックリして最初に焼いたのを捨てようとしたら、生っぽさがなくなり固まっていた。時間を置いたせいだろうか。食べてみると、まあ合格点。先の友人には「売ってるクッキーの方がおいしい」と言われたが、何とか完成したことにほっとする。火加減と時間のバランスはまだ改善の余地がある。

■レシピの時間 あくまで目安に

グリルは家によってタイプが違う。片面焼きなら途中で裏返しながら両面焼きのときの1.5倍の時間をかけて焼く。庫内温度もそれほど高くならない。レシピの時間は目安と考え、ベストを探ろう。

魚焼きグリルの便利さに開眼したものの、洗うのが面倒で臭いも気になる。網にアルミホイルを敷けば汚れはつかないが、焼き魚や肉料理、揚げ物の場合は脂が落ちず、べちゃっとした仕上がりになる。くっつくのは防げないのか。東京ガスで先がくし状になった「グリルスクーパーが便利」と聞いた。インターネットで検索したら、市販されているが、うちのコンロには付属していた。これならしっかりすくい取れる。

さらにもう一つ注意点。使ったらすぐに洗う。焼いた後で放置しておくと魚や肉の嫌な臭いがこもってしまう。臭いが抜けないと使いにくくなる。調理が済んだら網と受け皿を引き出しておこう。

主菜と副菜を同時に作れる
グリルで調理したものだけで1皿作った

記者のつぶやき
■温度差操れば時短に
昔のグリルと言えば引火防止に水を受け皿に入れるのが一般的だったが、技術の進歩で今の製品はその必要がないという。片面より加熱時間が少なくて済む両面焼きも主流になってきた。
グリルの便利さを実感したのが、一度に複数の料理を扱えるところ。肉・魚料理と付け合わせの野菜も一緒に焼ける。奥の方が少し温度が高いので、火の通りにくい方を奥に、焦げやすい方は手前に置く。魚は頭が奥だ。それから、今まで魚や肉が時々生っぽくなるのが気になっていたが、余熱を生かせば好みの焼き具合にできそう。今度は牛肉のステーキで、抜群のミディアムレアに挑戦したい。
(関優子)

[日経プラスワン2015年10月10日付]