リノベで理想のキッチン カウンター・収納を好みに

毎日のように料理をするキッチンは、とくに使い勝手やデザインに自分の好みを取り入れたくなるものだ。そうした希望を実現する一つの手が建物や部屋に大がかりな改修を加えるリノベーション(リノベ)。一定の制約があり、費用もかかるが、より理想に近づけることができる。

「まるで新築みたい。使い勝手もいい」――リノベした築15年の中古マンションに住む格闘家の白井祐矢さん(35)は満足げだ。

神奈川県の白井さん宅の台所は対面式のオープンキッチン。リノベ前は壁に囲われ居間から独立したキッチンだったが、壁を取り払った。「太陽の光が入り、キッチンから居間の様子が分かるのが気に入っている」(白井さん)。

白井さんは、中古マンションをリノベした上で販売するトータルエステート(横浜市)からこの物件を購入した。

狭くて、少し古い感じがした(リノベーション前)
新築同様の対面式キッチンに(リノベーション後)

トータルエステートの関連会社で改装を担当するトータルテックによれば、キッチンだけを改装する場合、一般的に50万~60万円程度で新築同様の仕上がりにできるという。工事にかかる期間は2~3日だ。

ただ、キッチンを改修するにあたっては制約もある。トータルエステートによると、キッチンは多くの場合、既存の位置から大きく動かせないことが多いという。排水などの水回りや換気の問題があるためだ。

マンションでキッチンを改装するなら、下の階への配慮が欠かせない。構造上キッチンの位置を動かせたとしても、真下の部屋が寝室ならば移設しない。下の階に音が響きやすく「住民とトラブルになることがある」(トータルエステートの水野真吾取締役)。

リクルート住まいカンパニーの不動産・住宅情報サイト「SUUMO」の池本洋一編集長によると、新築でも改装でもファミリー層向け住宅の主流は対面型のキッチン。ただ最近は壁付け型を選ぶ人も増えているという。流し台の作業スペースを広く取れる点などが見直されているようだ。

作業スペースや簡単なテーブルとしても活用できる可動式のカウンターがついたタイプも人気。レシピを表示したタブレットやスマートフォンを置く場所を用意する人もいる。

リノベーションでおしゃれなデザインのキッチンもつくれる(前田さん宅のキッチン)

リノベなど改修関連の情報誌「SUUMOリフォーム」の福沢佳恵編集長は、30~40代の人を中心に、機能的で使いやすさに重点を置いたシンプルなデザインの人気が高まっていると指摘する。

都内在住で40代の前田亜希子さんは、2014年に築15年の中古住宅を購入しリノベして住んでいる。デザインの事例をみて理想のイメージを固めてから、素朴な感じのするビンテージ風キッチンをつくった。

「道具などが見えてもかっこいいデザインを目指した」と前田さん。シンクの下のスペースには扉が付いていない。食品や調理器具は外から見える状態で収納されている。天井がコンクリートむき出しの居間や、居間にある鉄の部材がむき出しの本棚との調和を狙った。

カラフルなタイルで簡単に飾れる(ニトムズの「デコルファタイルステッカー」)

リノベーションの費用は1部屋を除く家全体で「1000万円程度」(前田さん)。なるべく自分の理想に近づけようとしたことから当初の予算を超えた。ただ、家の購入費として考えると、同地域で間取りや広さも同じぐらいの新築住宅を買うよりも割安におさまったという。

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キッチンの外観だけを好みのものに変える手もある。既製品のシステムキッチンを導入した上で、タイルシールを貼り付けて「自分らしさを表現する若い人も多い」(福沢編集長)。

ニトムズ(東京・中央)が販売する「デコルファタイルステッカー」(4枚1組で税込み1080円)はカラフルなタイルを模しており、ステンレスやタイルの上に貼ってキッチン周りを簡単に飾れる。熱や油汚れにも強い。はさみやカッターで貼る場所の形状に切ることができるので、スイッチ類があっても問題ない。はがすのも容易で、賃貸住宅のキッチンでも使える。

■プロの視点でチェック
キッチンの改装では、デザインを重視しすぎて使い勝手を損ねないようにする。食器や食材などの収納スペースや、電子レンジ、炊飯器などの置き場所はきちんと確保する。信頼できるプロの視点でチェックをしてもらうようにしたい。

(商品部 山田彩未)

[日本経済新聞夕刊2015年10月7日付]

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