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こわばる関節、リウマチの可能性 30代から発症も

2015/9/17 日本経済新聞 プラスワン

関節が腫れて痛む関節リウマチを「高齢者の病気」と考える人は多い。実は発症年齢のピークは30~50代と若く、働き盛りの女性に多い。最近は、治療薬の開発などで関節の破壊の進行を抑えられるようになり、健康な人と同じように過ごせるケースも増えてきた。大切なのは発症早期に適切な治療を受けることだ。

関節リウマチは、免疫の異常で体が自分の組織を攻撃する自己免疫病の一つ。炎症が起き、激痛が生じる。治療を受けないままだと、次第に骨や軟骨が壊れ、関節が変形、動かせなくなる。

日本の患者数は70万人以上といわれ、8割は女性だ。30~50代の働き盛りに発症することが多い。体がうまく動かせず、仕事や家事、育児が思う通りにできないという精神的な苦労も多い。

原因は明らかではないが、家族にリウマチの人がいれば発症しやすい傾向がある。それ以上に大きいのが環境だ。慶応義塾大学医学部リウマチ内科の竹内勤教授は、「妊娠や出産、ケガ、感染症、身内の不幸などがストレスとなり、発症の引き金になる。喫煙もリスクを上げる」と話す。

■進行抑制は可能

かつては「関節が変形し、寝たきりになってしまう病気」と恐れられてきたが、診断や治療法が進歩、関節破壊の進行を抑えて働きを維持することが可能になってきた。

以前は消炎鎮痛薬やステロイド薬で、痛みなど症状を抑えるだけの対症療法しかなかったが、免疫抑制剤「メトトレキサート」が抗リウマチ薬として登場、治療が一変した。2003年には生物学的製剤と言われる薬も使えるようになった。炎症を起こす物質や特定の免疫細胞の働きを抑えることで、炎症そのものが起きないようにし、関節破壊を抑える。

新薬の登場に加え、診断基準が改まり早期の診断と治療が可能になった。治療に対する考えも変わり、単に痛みを軽減するだけにとどまらず、関節の痛みや腫れなどがほとんどない「寛解」と呼ぶ状態を目指すようになっている。「1999年には約5%だった寛解の人の割合は、現在は50~60%だ」と竹内教授。

そんな中、ますます早期発見・治療が求められている。免疫を抑制する抗リウマチ薬や生物学的製剤による治療は、関節の破壊が起こる前の投与が肝心だからだ。一度関節破壊が始まると、炎症は薬で治まっても変形による痛みが残ることがある。

■風邪に似た症状

早期発見には、自分の体の異常の兆しを見逃さないことだ。3大症状は関節の痛み、腫れ、こわばり。一方で、微熱やだるさ、食欲不振といった全身の症状が表れることもある。初期には風邪やけんしょう炎と間違われることもある。

適切な医療機関選びが大切になってきている。患者会「日本リウマチ友の会」(東京・千代田)には年間約8千件の電話相談が寄せられる。多いのは「治療をどこで受ければよいかという質問だ」と長谷川三枝子会長。

竹内教授は、「抗リウマチ薬や生物学的製剤は効果が高い一方で、その人に合った薬の選択や、用量や投与法を決めるのに専門的な知識が必要だ」と話す。副作用にも十分注意しないといけない。「リウマチ科や、リウマチ専門医のいる医療機関を受診するのが望ましい」(竹内教授)

関節症状に加え、風邪のような症状が1週間以上たっても改善しないか悪化するようなら、専門医にみてもらう。かかりつけの医療機関で紹介してもらうこともできる。

日常の思わぬことが症状を悪化させることもある。仕事や子育て、合わない靴や下着などがストレスになっていないか、早く気づき対処することも大切だ。織部リウマチ科内科クリニック(大分市)の織部元広院長は「症状に合わせきめ細かい助言を受けられるよう、じっくり話ができる医療機関を選ぶのが望ましい」と話す。

働き盛りに発症しやすいことから、治療と仕事や家事の両立にも注意が必要だ。一番重要なのは発症早期など、炎症が強い急性期には安静にすることだ。「動かさないと関節が固まると考えて無理にトレーニングする人がいるが、逆に関節破壊を進めてしまう」と竹内教授。関節が痛く、熱を持ち赤く腫れているなら「ハイヒールでの歩行やキーボード入力も避けた方がいい」と竹内教授。

織部院長も「急性期の10日間を無理すれば、将来の10年に響く」と話す。必要があれば、診断書を書き、職場との折り合いを付けるようにすすめているという。

◇            ◇

■痛みを他人に理解してもらうには

痛みは目に見えない分、職場の人ばかりでなく家族にすら理解してもらえない人も少なくない。「たださぼっているだけじゃないか、といった誤解を受けるという相談も多い」と長谷川会長。

生物学的製剤を使えば、3割負担でも1カ月の薬代は数万円になる。経済面でも家族の理解が必要だ。そのためにも「まず本人が病気を理解し、十分な情報と知識を持って説明することが大切だ」(長谷川会長)と話す。

さらに、通院の際に家族も一緒に来てもらい、「主治医から治療の必要性や本人の痛みなどについて説明してもらうことも必要だ」と織部氏はアドバイスする。

(ライター 武田 京子)

[日経プラスワン2015年9月12日付]

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