時間管理 達人への道(上) 「空き」見つけ有効活用手帳、一目で分かる縦型使う 意識、終わり決めダラダラ防ぐ

職場で「仕事ができる」と言われるビジネスパーソンは、仕事の中身はもちろんスピードも評価されている場合が多い。効率よく仕事を進めるためには、どう時間を配分し、行動すればいいのか。まずは時間管理の基本を押さえておきたい。

PR会社に勤める香川由紀さん(仮名)は「なぜ自分はいつも忙しいのか」と悩んでいる。与えられる仕事の量は他の同期社員と変わらないし、サボっているつもりもない。なのに自分だけ残業になることが多いという。

■「約束」だけはNG

「常に時間がないと感じている人は、『時間管理』と『約束管理』を混同していることが多い」。働く女性の視点で商品開発などを手掛けるイー・ウーマン(東京・港)の社長、佐々木かをりさんは話す。時間管理の第一人者でオリジナルの手帳も開発している佐々木さんによると、スケジュール帳に会議やプレゼンテーションなど「約束」だけを書き込む方法では、時間管理はうまくいかないことが多いのだという。

例えば、Aさんが小型の手帳を愛用しているとする。ある日の欄には「午前10時◯社打ち合わせ」「午後1時△社プレゼン」「午後5時定例会議」と合計三つの予定を記入する。しかし、この方法では問題がある。

まず、手帳が小さいと、予定を3つ書いただけでその日の欄は埋まってしまい、他に何の予定も入れられないほど自分は忙しいと勘違いしてしまう。また、それぞれの予定が何時に終わり何時から暇になるかが手帳を見ても判断できない。つまり、「どこに空き時間があるのか分からない」(佐々木さん)。

分からないから、予定を入れず、結局はダラダラとメールチェックをするなど非生産的な過ごし方をしてしまう。一方、空き時間が分かっていれば他の予定も加えることができる。「プレゼンから戻って定例会議が始まるまでに1時間半ある。この時間に報告書をまとめよう」という具合だ。香川さんも空き時間を把握し活用すれば、残業を減らせるかもしれない。

「主体的な時間の使い方をするには手帳の選び方が大切」と佐々木さんは指摘する。時間管理に適しているのは、時間軸が縦になっているバーティカル式で、1週間の予定が見開きで見渡せ、30分単位で行動が書けるA5サイズの手帳。予定も全て書き込めて空き時間も一目で分かる。

デジタルのスケジュール帳、グーグルカレンダーもバーティカル式だが、仮の予定をサッと書き込んだりするのには不向きだ。ただ、他の人と予定を共有しやすいなどの利点もある。紙の手帳と併用するのも一案だ。

残業削減のコンサルティングを手掛けるプロスタンダード(東京・港)の社長、若林雅樹さんも「時間管理は行動管理であると理解することが大事」と話す。行動を管理するには「それぞれの行動に価値があるかを考えること」「どの行動にどれくらいの時間がかかっているかを知ること」が必要だという。

■価値知り行動点検

若林さんによると、仕事の時間は「稼働時間」「準稼働時間」「非稼働時間」「不明の時間」の4つに分類できる。1週間にやるべき作業を全て洗い出し、それぞれどこに当てはまるか分類してみよう。「ホワイトカラーの仕事は目に見えない作業が多い。非生産的な時間に気付きにくいため、このように可視化することが大切」と強調する。

オフィスワーカーの場合、稼働が4割、準稼働が4割、非稼働と不明が2割くらいの比率になるのが平均的。「もし稼働と準稼働の割合がこれより極端に低い場合、改善の余地がある」(若林さん)

作業スピードを知るためにタイマーを使う

一つの作業にかかる時間を知ることも大切。タイマーで時間を測り「今日は◯分でやろう」と意識して時間短縮を図るのが効果的だ。さらに、週に一度、5分だけでも1週間の作業を振り返れば「効率は飛躍的に向上する」と若林さんは言う。

人材育成やスキルアップのセミナー講師を務めるオフィスフローラン(東京・港)の代表取締役、新井淳子さんは「習慣化しているルーチンワークに無駄が含まれていることもある」と話す。例えば、請求書を出す手順をマニュアル化し第三者に見てもらうと不要な作業に気づくという。また、ルーチンワークは予定に書かない人がいるが、「いつ何時間かけてやるかまで書いた方がいい」(新井さん)

次週は、様々な状況に応じた、より具体的な時間管理のコツを紹介する。

(ライター ヨダ エリ)

[日本経済新聞夕刊2015年8月24日付]

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