アメリカのジレンマ 渡辺靖著世界の混乱と関わり続ける

2015/8/14
(NHK出版新書・780円 ※書籍の価格は税抜きで表記しています)

バランスのよいアメリカ論である。本書によると、アメリカの家庭の二割強が英語以外の言語で会話しているという。これもアメリカの多様性である。

 いまなお移民(難民も)を大量に受け入れ、世界の混乱や無秩序と、積極的、消極的に向きあい、関わっているのがアメリカだ。朝鮮戦争、ベトナム戦争、湾岸戦争、アフガニスタンやイラク、そしてテロとの闘い……。アメリカは「戦後」ではなくずっと「戦中」だ。

 「貧困大国」論が盛んだが、格差や差別など、さまざまな社会問題を論ずるとき必要なのは、著者のような豊富な背景知識によって比較の基準を明瞭にすることだろう。また日本がどのように世界に寄与できるのかも大切だ。

★★★★★

(福山大学教授 中沢孝夫)

[日本経済新聞夕刊2015年8月13日付]

★★★★★ 傑作
★★★★☆ 読むべし
★★★☆☆ 読み応えあり
★★☆☆☆ 価格の価値あり
★☆☆☆☆ 話題作だが…

アメリカのジレンマ―実験国家はどこへゆくのか (NHK出版新書 464)

著者:渡辺 靖
出版:NHK出版
価格:842円(税込み)