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暮らしの知恵

浸水被害は入り口で防ぐ シートや防水板で隙間解消

2015/8/15

暮らしの知恵

夏は、短時間に大量の雨が降るゲリラ豪雨や台風など水害にさらされる恐れのある季節だ。一度浸水すると、家財道具がぬれるなど日常生活に影響が出るだけではなく、住宅の価値も下がってしまう。こうした事態を避けるには水の入り口を塞ぐのが有効で、そのための防水用品も登場している。

ゲリラ豪雨では、排水しきれなくなった雨水が下水道や側溝からあふれて浸水被害を引き起こす。水が入った家は「泥を洗い流しても壁や柱に臭いが染みつき、傷みやすくなる」。浸水被害の現場を数多く調査してきた防災システム研究所(東京・港)の山村武彦所長は話す。保険などで補償を受けたとしても、日常生活への影響は大きい。浸水は極力防がないといけない。

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三和シヤッター工業の簡易防水シートは女性でも簡単に取り付けられる

ガレージは住宅の中で最も水が入り込みやすい場所のひとつで対策を施しておきたい。6月に発売された三和シヤッター工業の防水シート「ウォーターガードeシート」(税別8万円)は、ナイロン製のシートを広げ、ゴム製の部品でシャッターのレールの隙間に取り付ける。取り付けにかかる時間は5~10分ほど。シートには取り付けの手順がプリントされている。

eシートは重量は5キログラム。災害時に自治体などから配布される土のうは1袋あたり20キログラムで、これを場所によっては数十袋積み上げる必要がある。高齢者や女性だけの世帯には負担が大きい。また土のうは「隙間を空けて積むと大量に水が漏れ出してしまう」(同社防水建材課の辻健夫課長)。土のうに比べ軽く、設置も容易なのが利点だ。

文化シヤッターの防水シート、シャッター向け「止めピタ」(同13万4500円)は高さ50センチまでの水を防ぐという。ゲリラ豪雨の発生が増えるにつれて販売も伸びている。ガレージにこれを取り付けたある50代男性は「自宅は高台だが、頻発するゲリラ豪雨に備えた」という。

マンションの入り口などにつけられる防水板(文化シヤッターのラクセット)

ただ、こうしたシートタイプは、一度取り付けると入り口の開閉ができなくなるため、水がひくまで出入りできなくなる点には注意が必要だ。

マンションの入り口などに使いやすいのが防水板。文化シヤッターの製品(同23万4500円から)はアルミ製の板で、金具の位置を調整して入り口の開口部に取り付ける。開口部の幅に合わせて注文しなければならないが、取り付け工事は必要ない。ドアからの出入りも可能なことが多い。

住宅メーカーも浸水対策の提案に力を入れる。ミサワホームは今年春から地震や豪雨に備えた設備づくりを提示。家の境界には、水の浸入を食い止める防水ブロックを設けることや、門扉や玄関に防水板をつけることなどを勧めている。

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メーカー製の防水シートの購入、設置には費用も手間もかかる。防災システム研究所の山村所長が勧めるのは、ゴミ袋や段ボール箱を使った手作りの防水壁。勝手に工事ができない賃貸に住む人でも使える。

簡易型防水壁を作るには、まずゴミ袋と段ボール箱にブルーシートを用意する。45リットル程度のゴミ袋を2枚重ねにして水を半分くらい入れる。空気を抜きながら袋の口を縛り「水のう」を作る。これを隙間なく並べた段ボール箱に入れてから、段ボール全体をブルーシートで覆う。

山村所長によると、あふれてきた泥水は、排気口や風呂場、洗濯機の排水口などから逆流してくることもあるという。「流入を防ぐために水のうを便器の中に入れたり、排水口の上にかぶせたりしておくのもポイント」(山村所長)。自治体のハザードマップで自宅の浸水リスクをあらかじめ調べた上で、対応策を考えてみてはいかがだろうか。

■排水溝、こまめに掃除
 敷地周辺の浸水対策も必要だ。家の前の排水溝にたまった枯れ葉や土砂で排水できなくなる例もあり、こまめな掃除が欠かせない。「大雨の時は風呂の栓を抜かないなど、不要不急の排水を最小限に抑える」(山村所長)ようにする。

(企業報道部 若杉朋子)

[日本経済新聞夕刊2015年8月12日付]

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