海外旅行、アプリが味方 病院探しや時差ボケ対処指南
「旅先で日本語対応の病院を知っていると、安心して旅行が楽しめる」。そう話すのは東京都内に勤める長谷川景子さん(37)。毎年必ず海外へ行くほどの旅行好きだ。以前旅先で体調を崩したことがあったため、前回グアムへ行く際、「海外サポート」というスマホ向けアプリを使って現地の病院をあらかじめ検索。そのなかにあった、ホテルに併設されている日本語対応可の病院の存在を知り、そのホテルに宿泊した。
同アプリはau損害保険(東京・渋谷)が2013年から無料で提供している。使い方は簡単だ。まず旅先の国と地域を選択し、旅行開始日と終了日を登録する。するとトップ画面に出国日までの日数のカウントダウンが表示され、旅先に合ったトラブル対策や、同社の提携先を含む現地の病院リストをはじめ、いざという時の連絡先、大使館や領事館情報が閲覧可能になる。
営業企画部の福士純子さんは「(ネットで申し込む商品の性質上)旅行当日に加入する人が、渡航直前に契約証や緊急連絡先などが載った冊子を印刷して行くのは難しい」と考え、使い勝手の良いアプリに着目した。今では契約者以外の人でも使える機能を追加している。大きく告知していないが、利用者は徐々に増えているという。
カメラでメモ機能
利用者から好評なのが「カメラでメモ」機能だ。パスポート、航空券、クレジットカードなど項目別にスマホのカメラで撮影し、メモ代わりに記録できる。スマホに写真を保存しておけば、紛失すると困るものをいちいち持ち出す必要がなくなる。写真はカメラロールやフォトギャラリーには表示されず、アプリ上でしか閲覧できない。しかもパスワードをかけられるので安心だ。
長谷川さんは「現地のバーに行ったときに、アプリに保存したパスポートの写真を見せてIDチェックができた」と同機能を重宝している。
アクシデントの種類は様々だ。豊富な事例を知りたいときは、損害保険ジャパン日本興亜が提供する「トラブルCh」アプリを使うとよい。時差ボケの対処法など身近なものから、旅行中にストライキに遭遇した場合といった想定外の出来事に対し、専門家による73もの解決方法を掲載している。キーワードを入力すればすぐに検索できる。
IT企画部の中村麻紗子さんは「ブックマーク機能を使って、渡航先に合った対処法をあらかじめ選んで自分専用ページも作れる」と話す。
停電や災害時、スマホを懐中電灯代わりに利用できる「おたすけライト」の機能も備える。
オフラインで使える
旅行の持ち物を抜かりなく準備するのに役立つアプリもある。三井住友海上火災保険が提供する「スマ保」だ。アプリ内の「海外旅行ナビ」にある「準備リスト」には、貴重品や電子機器など、項目別に細かいチェックリストが用意されている。例えば「日用品・医薬品」の項目は、爪切りやシェーバーなどうっかり忘れてしまいそうな14のアイテムを記載する。
今回紹介した3つはいずれも保険会社が提供しており、それぞれが販売する保険に加入しなくても使える。またオフラインでも使用可能なので、緊急時にすぐにアプリを起動でき、高額になりがちな海外のパケット通信の心配は不要だ。手元に安心を備えて旅行を楽しんではいかがだろうか。
(電子編集部 中山美里)
[日本経済新聞夕刊2015年7月23日付]
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