冥王星が惑星から「準惑星」になったわけ

2015/7/14

冥王星は惑星じゃないのよね?

スーちゃん 米航空宇宙局(NASA(ナサ))の探査機が14日に冥王星(めいおうせい)に最も近づくんだよ。どんな姿なのか楽しみだな。冥王星はむかし惑星(わくせい)だったけど今はちがうって教えてもらった。なんで仲間はずれにされちゃったの?


近くに星がたくさん、準惑星の仲間に

森羅万象博士より 冥王星は地球から約50億キロメートルはなれていて、ジェット飛行機だと600年以上もかかるんだ。探査機「ニューホライズンズ」は打ち上げから9年半でようやく冥王星にたどりつく。探査機が冥王星に接近するのは初めてだよ。

あまりにも遠いから「ハッブル宇宙望遠鏡」や「すばる望遠鏡」といった最も高性能の望遠鏡でも、ぼやけて見える。冥王星がどんな星なのかよくわかっていないんだ。

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ちょっと前まで、惑星を「水(すい)金(きん)地(ち)火(か)木(もく)土(ど)天(てん)海(かい)冥(めい)」って教わった。太陽や星座の星「恒星(こうせい)」を回っている大きな星が惑星なんだ。惑という漢字には「まどう」という意味がある。惑星の動きを記録すると、星座の間を惑うように移動するからなんだ。

望遠鏡を使わなくても見える水星や金星、火星、木星、土星は古くから惑星だとわかっていた。18世紀に天王星が発見され、19世紀に海王星、1930年に米国の天文学者クライド・トンボーが冥王星を見つけた。地球も入れると惑星は9つになった。その後、冥王星にはカロンという「衛星(えいせい)」、つまり地球の月に当たる星があることもわかった。

発見されたころの冥王星は、地球くらいの大きさだと思われていた。だけどくわしく観測すると、直径は米国の南北の距離と同じくらいで、月よりも小さいとわかったんだ。21世紀に入ると、冥王星よりもちょっと大きい星が見つかって「エリス」と名づけられた。ライバルの出現だ。

それ以外にも、他の惑星とちがうところがいろいろある。たとえば、太陽の周りを回る軌道(きどう)が他の惑星よりも細長いし、他の惑星が回る面よりもかたむいている。いっそ「惑星からはずしたら」という意見も出てきたんだ。

そこで、06年8月に世界中の天文学者が集まって「惑星とは何か」を決めることになった。皮肉なことに、トンボーの遺灰(いはい)をのせたニューホライズンズが打ち上げられたのは、その年の1月だった。

この会議で、惑星とは「太陽の周りを同じ軌道で回っている」こと「十分に大きくて自分の重力によってほぼ球形を保っている」ことが必要と決まった。ここまでは冥王星も当てはまる。でも「軌道の近くに衛星以外の星がない」という第3の条件はクリアできなかった。十分に大きな星だと軌道を通るときに、小さな星を引き寄せたり遠ざけたりするからだ。でも、小さい冥王星は軌道の近くに無数の星が見つかっていた。

それで、冥王星は惑星ではなくなって「準惑星(じゅんわくせい)」という新しいグループに分けられた。エリスも同じ分類に入っているよ。惑星は8個になって、教科書も書きかわった。

惑星からはずれたといって、冥王星を調べることに意味がなくなったわけではない。冥王星の地面の様子を調べれば、生まれたころの太陽系を知る手がかりになるといわれている。ニューホライズンズから届いたデータをくわしく調べると、いろいろなことがわかるんじゃないかな。

■金星と木星、見てみよう

博士からひとこと 惑星は地球よりも太陽に近いか遠いかで見え方がちがうよ。軌道が地球よりも内側にある水星と金星は日の出か日の入りの前後にしか見えないんだ。特に明るい金星のことを「明けの明星(みょうじょう)」や「宵(よい)の明星」というよね。
 地球よりも外側にある火星や木星、土星の方が見るチャンスは多い。市販の天体望遠鏡でもはっきりと観察できるよ。
 今ごろはちょうど金星と木星が近づいて見える。晴れた日の夕方は西の空をながめてみよう。すごく明るく見えるよ。土星も9月のなかばまで見ごろだから、ぜひ観測してみよう。

(取材協力 渡部潤一・国立天文台副台長)

[日経プラスワン2015年7月11日付]