野菜の冷製スープ ミキサー使い、手間かけず作る

ジメジメした日が続き、体が疲れて食欲がわかない。とはいえ、これから暑くなるだけに、何か食べて栄養をとることが大切だ。魅力を感じるのは冷たいスープ。のどごしがよいし、おなかに優しい。野菜のエキスもたっぷりとれそうだ。ミキサーを使い手間をあまりかけずに、ちょっと本格的な冷製スープを作る。そのポイントを探ってみた。

冷製スープと聞いて、自分が真っ先に思いついたのは、ガスパチョだ。スペインなどでよく食べられる夏のスープで、外食した際に食べたことがある。材料をミキサーにかければ、社会人1年目で料理経験の乏しい自分でも作れそうだと思った覚えもある。これから挑戦してみよう。

■初のガスパチョ 後味悪くて失敗

インターネットで検索したレシピを見ると、使う野菜はトマトにキュウリ、タマネギ、ニンニク。これらを適当なサイズに切り、オリーブオイルとともに、ミキサーにかけてみる。ちょっと元気をつけたいからニンニクは多め。野菜が細かく刻まれたら、あとは酢と塩とオリーブオイルで調味するだけ。さて、味の具合は……。

まずは母に食べてもらおうとしたら、自分の帰宅が遅すぎて既に就寝。まだ起きていた父は不運だった。「後味が辛い。苦味が強い」。一口目から顔をしかめた。確かにニンニクとタマネギの辛さが強烈に舌に突き刺さる。ニンニクとタマネギの量が違ったのか。それとも別の理由か。

ここは専門家に聞いてみるしかない。管理栄養士で食生活アドバイザーの宗像伸子さんにアドバイスを求めた。すると「ガスパチョの味は野菜に対するニンニク、オリーブオイル、塩のバランスで決まる」という。野菜の味が生きる味付けを自分なりに探ることが肝心というわけだ。

その際、ポイントになるのがタマネギとニンニク。辛さが苦手な人はこの分量を減らす。タマネギを水に浸してから使っても食べやすくなるという。

食欲を誘うには、冷製スープの見た目も大事。自作のガスパチョは少し緑がかっており、いまひとつ。鮮やかな赤色にするには「トマトだけでなく、赤いパプリカも欠かせない」と宗像さん。

助言をもとに、ニンニクの量を減らし赤いパプリカを加えてもう一度試してみると、味も色合いも上々。納得できる一皿に仕上がった。

せっかく冷製スープに挑戦するなら、少し手間がかかるスープにも挑戦してみたい。フランス料理の冷製スープ、ビシソワーズだ。自宅のレシピ本によれば、ジャガイモとタマネギ(仏ではポロネギ)をバターでいためる。それをコンソメスープで煮込んだ後、ミキサーにかけて、冷やせばできあがり。なるほど、本格的とはいえ、料理初心者でも何とかなる、と思えた。

ところが、レシピ通りに作ってみると、味はまろやかだが、どうも舌触りがザラっとしている。もっとじっくりミキサーをかけるべきだったのだろうか。

再び宗像さんに助言を求めると、タマネギの繊維の状態が舌触りを左右するという。ポイントは「タマネギが透明になるまでじっくりいためること」。焦がさないように弱火で、最低でも7~8分はいためたいという。なるほど。

さらにミキサーから取り出したスープが温かいうちにザルなどで裏ごしすれば、よりなめらかになる。とりあえずタマネギをじっくりいためて作り直すと、食感はぐっとよくなった。

■夏バテ対策に ゴーヤが効く

これらの基本を覚えれば、あとは食材を変えて様々な冷製スープを試すことができる。どうせなら夏の体に効くスープも知っておきたい。

料理研究家の町田えり子さんが夏バテ対策として太鼓判を押すのがゴーヤの冷製スープ。ゴーヤからは、不足すると脱力感が強まるというカリウムを補給できる。

作り方のポイントは苦みを和らげるため「薄く切ったゴーヤを塩か砂糖でもみ、洗ってから1分ゆでること」(町田さん)。あとはバターでタマネギといためて小麦粉を入れ、コンソメスープで煮込んでからミキサーにかける。最後に牛乳を加えて味を調え、冷蔵庫で冷やせば完成だ。

作ってみると、やわらかい苦みがさわやかで、体にも効きそう。父も「苦みをあまり感じない」と驚いていた。

一方、宗像さんのお薦めはモロヘイヤ。エジプト原産でビタミン、ミネラルが豊富だ。ゆでて細かく刻むと粘りが出る。体の抵抗力を高め、弱った胃腸を助ける働きが期待できるとされる。図のモロヘイヤのスープのレシピを参考に、作ってみてほしい。

ミキサーを使えば簡単だろうと思っていた栄養豊富な冷製スープ作りだが、やはりもう一手間が味を左右するのは確か。やってみれば結構楽しい。さらにコツを身につけて、社会人として初めての夏を乗り切りたい。

スープメーカーなら、タマネギをいためるなどの手間がかからず、簡単にのどごしなめらかなビシソワーズが作れる
記者のつぶやき
■全自動の波 スープにも
今回使ったのはタイガー魔法瓶の「スマートブレンダー」のミキサー機能。どの機械のどの機能を使うかによって食感や味わいが変わりそうだ。中には加熱からミキサー機能まで丸ごと備えたスープメーカーという調理家電もある。
たとえば小泉成器(大阪市中央区)の全自動スープメーカー「ビタリエ KSM―1010」。ビシソワーズの場合、細かくした野菜と調味料と水を入れてボタンを押すと30分ほどでできあがる。手作りでは必ず用いるバターを使わずとも、なめらかなのどごしを味わうことができた。
家族と食卓を囲む機会は減ったが、たまには新たに覚えたスープを振る舞いたい。
(小柳優太)

[日経プラスワン2015年7月11日付]