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ヒマラヤ山脈の成り立ち 大陸の衝突によって誕生

2015/7/7 日本経済新聞 プラスワン

■ヒマラヤの高い山 どうやってできたの?

 4月25日にネパールで起きた大きな地震(じしん)で、エベレストの高さが変わっちゃったの? ヒマラヤ山脈はエベレストのほかにも高い山が多いけど、どうやってできたのかな。

■大陸がぶつかり合って生まれたよ

森羅万象博士より エベレストの高さが変わったのかどうかについては、科学者たちが議論しているけど、まだよくわからないんだ。地震の大きさから計算すると、山頂の場所や高さが数センチメートルほど変化した可能性があるらしい。

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 エベレストはヒマラヤ山脈という巨大な山の集まりの一部なんだ。富士山のようなひとつの大きな山ではない。この山脈は長さが2400キロメートルに達し、8000メートルを超す山が10もある。まさに「世界の屋根」だね。

 ヒマラヤ山脈ができたきっかけは、約5000万年前から4000万年前の間に、大陸どうしがぶつかったことだと考えられている。今から2億数千万年前、インドは「パンゲア」と呼ぶ巨大な大陸の一部だった。今あるすべての大陸が集まっていて「超(ちょう)大陸」とも呼ばれる。

 2億年ほど前に、パンゲアはバラバラになり始めた。インドはパンゲアから離れ、長い時間をかけて南極の近くから少しずつ北へ動いていった。赤道を越(こ)えて、とうとうユーラシア大陸とくっついた。

 陸地が押しよせてきたことで、インドとユーラシア大陸の間にあった海底が大きく押し上げられていった。こうしてヒマラヤの山々が生まれたんだ。エベレストの山頂からは、三葉虫など古代の海の生き物の化石が見つかっているよ。今もインドは年に5センチメートルほど北上し続けていて、エベレストは毎年数ミリメートルずつ高くなっている。

 大きな山脈は同じような仕組みで生まれたものが多い。たとえば、欧州(おうしゅう)のアルプス山脈もアフリカ大陸とユーラシア大陸(ヨーロッパ大陸)が衝突(しょうとつ)してできたんだ。

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 大陸が動くという考え方は、ドイツのアルフレッド・ウェゲナーという学者が100年ほど前に思いついた。この「大陸移動説」は当時の常識ではありえなかったので、だれも信じなかった。1950年代になって海底をくわしく調べられるようになると、移動説が正しいと証明されたんだ。今では、カーナビなどに使う全地球測位システム(GPS)でもわかるよ。

 ウェゲナーは大陸が移動する仕組みまでは考えつかなかった。今は「プレートテクトニクス」という考え方を使えば説明できるよ。

 地球の表面は巨大で硬(かた)い岩石の板におおわれている。これが「プレート(岩板)」だ。地球を卵にたとえると、からの部分にあたる。地球の大きさと比べるとうすいけど、プレートの厚さは数十キロメートルにもなるんだ。大陸も海もプレートの上に乗っかっている。

 地球のプレートは卵のからのように1枚ではなく、十数枚ある。プレートの下には「マントル」という地球内部の物質でできた少しやわらかい部分が広がっていて、ゆっくりと動いている。それに引っぱられてプレートが動いて、大陸や海も移動するわけだ。

 何千万年もたつと、大陸の位置が大きく変わる。そのとき、今とまったくちがう世界地図になっているよ。

■実は難しい 高い山の測量

博士からひとこと 今のエベレストの高さは8848メートルといわれているけど、このほかに2種類の数字が存在するんだ。1950年代にインドの調査隊が測ったのが8848メートルで、今の公式な標高になっている。このときは地上でもよく使う「三角測量」という方法ではじき出した。
 だけど、全地球測位システム(GPS)を使うと、ちがう結果になった。99年に米国の学術調査隊が8850メートル、2005年に中国の政府機関が約8844メートルと発表している。山の高さは雪や氷の厚みも含(ふく)むけど、厚さはいつも変化する。GPSによる高さの測定は水平方向ほど得意ではないので、精密な数字を出すのは難しいんだ。

(取材協力 小嶋智・岐阜大学教授)

[日経プラスワン2015年7月4日付]

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