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暮らしの知恵

大人の夢、かなえる賃貸 専用ガレージ・大型ワイン庫

2015/7/4 日本経済新聞 夕刊

 自宅のガレージで車をいじったり、たくさんのワインをそろえて楽しんだりしたい――。そんな願いが大きな費用をかけずにかなうかもしれない。自分専用の趣味のスペースを備えた賃貸住宅が登場。経済的に余裕のあるシニア層などに人気となっている。
ガレージを自分だけの秘密基地として楽しむ人が多い=ジャパンガレージングクラブ提供

 加瀬倉庫(横浜市)は車やバイクを楽しめる「ガレージハウス」を展開している。神奈川県藤沢市の物件では、屋内に2台、屋外に1台の駐車スペースが各戸にある。住居部分は、標準的な間取りで25平方メートル程度のワンルーム。ガレージ内にある階段から住居へ上がる形だ。

 入居者の車は高級スポーツカーが多い。一般的な貸し駐車場は屋内であっても完全な個人用スペースではなく、自分以外の借り手も入ることができる場合がほとんど。高級車の管理には不安を感じる人もいる。その点、ガレージハウスなら自分しか入ることができないため、安心できる。

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 ガレージハウスは壁を塗るなど内装を整えたり机や椅子を置いて飲食ができるようにしたりもできる。「秘密基地のような楽しみ方をする人が多い」(加瀬倉庫)。友人を呼んで自慢の愛車を前にちょっとしたパーティーを開くこともできる。

 立地は郊外部が多いが、家賃は周辺の相場と比較するとやや高めでおおむね2割増し。「入居者は収入に余裕がある50代以上の人などが多い」という。趣味のためのセカンドハウスとして利用する場合が半分程度を占める。

 自動車を3台持っている40代男性は「自分だけのガレージを持つことに憧れていた。天候が悪い日でも室内で車いじりができるのがうれしい」と話す。ガレージ付き賃貸物件はリビング百十番ドットコム(東京・豊島)も運営する。

ワインアパートメント地下のワイン庫は24時間出入りできる

 不動産会社のイノーヴ(東京・板橋)が手がける東京・渋谷の賃貸マンション「ワインアパートメント」はその名のとおり、ワイン愛好家向けサービスが売りだ。

 広さ42~45平方メートルのワンルームの一角には、ワインを最大36本収容できるセラーが標準装備されている。1階で営業するビストロから料理を取り寄せ、自室でワインを傾けながら食事を楽しむことができる。大人数のパーティーを開けるよう、ワイングラスのレンタル(有料)サービスもある。

 「ワイン好きの方は料理にもこだわりがある方が多い」(イノーヴの川目真由子さん)ことを考慮し、キッチンスペースも広めに確保している。

 1階エントランスのラウンジには週2回、ソムリエが午前11時から午後6時まで常駐し、居住者や来客におすすめのワインを無料で振る舞う。ワインの選び方も相談できる。

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 地下1階には入居者が24時間出入りできるワイン庫がある。室温は年間通じて14~17度に保っており、お気に入りのワインを持ち込んで最適な状態で保管できる。最高1万本収蔵でき、1世帯で600本以上のスペースを使っている入居者もいるという。

防音を強化した部屋では楽器の演奏も気兼ねなくできる

 家賃が月20万円以上とワンルームマンションとしては高めなこともあり「入居者は収入にゆとりのある40~50歳代が中心」(川目さん)。入居者からは「グラスのレンタルサービスが便利」といった声が上がっているという。個人の入居者だけでなく、企業が遊び心のあるオフィスとして活用するケースも多い。

 「周りに気兼ねなく音を出したい」という音楽愛好家やミュージシャン向けの賃貸物件もある。不動産会社のリブラン(東京・板橋)は防音性の高いマンション「ミュージション」を企画・開発する。東京都や神奈川県などで228戸を管理する。

 賃料は周辺の相場に比べ2~3割ほど高いが、入居希望は多い。楽器演奏や音楽鑑賞、ホームシアターなどを大きな音で楽しみたい人が住んでいる。「住民の交流イベントも主催している。入居者でバンドをつくる例もある」(リブランの山下大輔さん)そうだ。

■駅からの距離など確認
 趣味にこだわった住宅は、一般的なものと比べると賃料などが高額なことが多い。契約前に、物件の設備や立地、サービスの内容を良く確認しておく。例えば、ガレージが充実した賃貸アパートは、駅から遠い場所にあることが多い。

(商品部 山田彩未、下村恭輝)

[日本経済新聞夕刊2015年7月1日付]

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