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店側と事前相談で円滑に 仕事のディナー、成功の秘訣 料理、食べるペース周囲と合わす ワイン、選ぶのはホストかソムリエ

2015/7/2 日本経済新聞 夕刊

景気の好転で、取引先を食事でもてなすビジネスディナーが再び活発になりつつある。これまで、企業の交際費削減で接待の機会も減っていただけに、不慣れなビジネスパーソンも多いだろう。ビジネスディナーで失敗しないための心得やマナーを押さえておこう。

「ビジネスディナーの目的はただ1つ。ホスト(接待する側)がいかに、ゲスト(接待される側)に感動を与えられるか」。こう力説するのは、ビジネス客の利用も多いビストロアンバロン(東京・港)のオーナー、両角太郎さん。

毎日、店で接客する両角さんだが、実は、数年前までは、大手外資系金融機関の営業担当として、取引先をビジネスディナーでもてなす側だった。ビジネスディナーの裏の裏まで知り尽くす両角さんが、ビジネスディナーで失敗しないためにあげる最初のポイントが、ホストによる店選び。「ビジネスディナーの成否は、店に入る前の段階で8割方決まる」

■なじみの店を予約

なじみの店であればサービスも良い

では、どんな店がふさわしいのか。一番は、ホストのなじみの店であること。ゲストを喜ばせるには、料理がおいしいのはもちろんだが、サービスも万全でなければならない。例えば、ゲストの嫌いな食材が使われていたら、明らかに失敗。料理の出てくるペースが速すぎたり遅すぎたりするのも、失格。会話が盛り上がっているところに水を差すようなサービスも、論外だ。

なじみの店なら、そうした失敗の多くは防げる。気心の知れたスタッフと事前に打ち合わせをして臨めるからだ。店側も、ホストも大事なお得意様だから、ホストの期待に精いっぱい応えようとする。メニューに載っていない特別な料理や酒が出てくるサプライズの演出があるかもしれない。より細やかなサービスも期待できる。そうした展開になれば、ビジネスディナーは成功したも同然だ。

最近は、ワイン人気を映し、おいしいワインを置く店でのビジネスディナーも多い。そうした場合、ワイン選びに自信のないホストは、どうすればよいか。やはり、信頼するソムリエのいる店でもてなすのがベスト。予算に合わせたワイン選びから料理との組み合わせやサービスまで、ソムリエがホストに代わってすべてやってくれるからだ。

ルエヴェルロール(東京・港)のオーナーソムリエ、千葉和外さんは、「ホストとソムリエがタッグを組むイメージでゲストをもてなせば、ゲストの満足度も高まる」とアドバイスする。ただし、あらかじめホストがソムリエと親しい関係を築いておくことが前提だ。

ゲストにワインを選ばせるのはホスト失格。どの価格帯のワインを選んだらいいのか、わからないからだ。ゲストの好みを聞きつつ、最後はホストかソムリエが選ぶようにしたい。

■乾杯は相手に合わす

食事が始まってから気をつけるマナーは何か。ホスト側の失敗で最も多いのは、話をするのに夢中で、ゲストがとっくに食べ終わっているのに、料理にほとんど手をつけていないケース。次の料理が出てこないので、ゲストは不満を抱く。「食べるペースを周りと合わせることが大切」(千葉さん)

このところ、ビジネスディナーの場で女性や外国人の姿が目立つようになった。女性や外国人同席の場合に気をつけたいマナーもある。その一つがお酌。「女性は男性にお酌しない、男性は女性にお酌を求めないのが国際的な常識でありマナー。特に欧米人の前でそんなことをしたら、誤解を招く」と、ビジネスマナーに詳しいイメージコンサルタントの堀口瑞予さんは話す。ビジネスウーマンにとっても留意すべき点だ。

ホストが酔っ払うのもご法度。ビジネスディナーにおける酒は、酔うためではなく、あくまで場をリラックスさせるため。「酔った態度は、ビジネスパーソンとしての資質を疑われる」と堀口さん。

ビジネスディナーでは、席順やドレスコードなど、細かい決まり事がある。しかし、ゲストを喜ばせるというのがビジネスディナーの最大の目的。「乾杯でグラスを合わせるのは本来よくないが、ゲストが合わせにきたのにそれを避けるのは、余計よくない」(千葉さん)

マナー本などで基本を押さえながら、店では臨機応変に対応することが肝心だ。

(ライター 猪瀬 聖)

[日本経済新聞夕刊2015年6月29日付]

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