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「うるう秒」、地球の自転による時刻のずれを修正

2015/6/30 日本経済新聞 プラスワン

■うるう秒でなぜ1日を1秒長くするの?

7月1日はいつもよりも1秒長くなるんだって。「うるう秒」っていうんだけど、あまり聞かないね。2月29日がある「うるう年」は知っているけどなぁ。なんで1秒だけ増やすのかな。

■地球の自転で時刻がずれるから直すよ

森羅万象博士より 7月1日は午前8時59分59秒と午前9時00分00秒の間に「8時59分60秒」をはさむ。これがうるう秒だよ。世界の時刻の基準となっている「グリニッジ標準時」が7月1日午前0時になる直前に、全世界で同時に「59分60秒」を入れるんだ。その日はたった1秒だけど、授業が長くなっちゃうね。時計も1秒おくらせなきゃいけないよ。

うるう秒は1972年に始まった。なんでうるう秒が必要になるのか。それは1日や1秒の長さを決める方法が変わってきたからなんだ。

むかしは地球が回る「自転」から時刻を決めていた。太陽が動くのは地球が自転しているためで、太陽が真南に来たときを「南中」と授業で習ったよね。南中から次の日の南中までの時間が1日。その24分の1が1時間、その60分の1が1分、その60分の1を1秒と定めていた。

◇            ◇

観測技術が進んでくると、地球の自転はいつも同じ速さで回っているわけではないとわかった。時刻を決めるものさしがふらついているわけだ。そこで地球が太陽を回る「公転」を基準にすることになった。公転の方が自転よりも正確だからなんだ。でも、公転する速さも厳密(げんみつ)には一定ではない。

50年代にきわめて正確な「原子時計」が発明された。セシウム原子という顕微鏡(けんびきょう)でも見えないとても小さな金属は小きざみに規則的に電波を出す。この電波が強弱をくり返す振動(しんどう)を数えているんだ。その回数が「91億9263万1770回になる時間」を1秒と定め、67年に世界共通のルールにしたんだ。

原子時計を使い続けると、それまでの時刻とのズレがだんだん広がっていくよね。極端(きょくたん)なたとえをすれば、何万年後かには原子時計の正午が真夜中ってことにもなりかねない。そこで、うるう秒が考え出されたんだ。ズレが1秒に近づくと、原子時計の時刻を調整する。

◇            ◇

うるう秒はこれまでに25回あって、どれも1秒足している。それは地球の自転が少しずつおそくなっているからなんだ。巨大な地震(じしん)や台風、地球を取り巻く風の変化など、いろんな要因で自転にブレーキがかかるけど、いちばん大きいのが月の引力だ。この目には見えない力によって、地球の海の水が月がある方に引っ張られる。満ち潮や引き潮は月の引力で起こるんだ。

盛り上がった海水は地球の自転で動き、そのかたまりが月の引力で引っ張られる。自転の方向と反対なので、自転にブレーキがかかる。これをくりかえすことで、だんだんおそくなっていく。

ちなみに、うるう年は4年に1回あるよね。公転の周期は365日じゃなくて、それよりも約6時間多いからなんだ。地球が4回公転すると、ほぼ1日多くなる。そこで、うるう年で調整するんだ。

うるう秒は地球の自転が不規則なので、予測するのが非常に難しい。だから、うるう秒は将来どのくらい必要になるのかわからないんだ。

■システムに影響 廃止議論

博士からひこと うるう秒をやめようという動きもあるんだよ。コンピューターが広く使われるようになってトラブルを起こす可能性があるからなんだ。前回の2012年のうるう秒では、一部の航空会社のホームページなどで問題が発生した。今年は平日なので、コンピューターシステムを使った取引などで混乱が起こるかもしれない。
日本や米国、フランスなどはうるう秒をやめるよう求めている。パソコンや人工衛星などの機器の時刻を調整する必要があるからだ。でも、世界中が廃止することに賛成しているわけではない。11月の国際会議で結論が出るといわれているよ。

(取材協力 情報通信研究機構、国立天文台)

[日経プラスワン2015年6月27日付]

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