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天気の変化で不調を感じる「気象病」 対処法は

2015/7/2 日本経済新聞 プラスワン

 雨が降りそうになると、関節が痛くなったり、季節の変わり目にめまいを感じたりする――。天気の変化で不調を感じたら、それは「気象病」かもしれない。普段から、のぼせやすいなど自律神経が乱れがちな人は特に注意が必要だ。梅雨どきを少しでも快適に過ごすため、有効な対処法を知っておこう。
雨降りの日は、頭痛やめまいを感じる人も(写真はイメージ)

 気象病は天気の変化で起こる不調の総称だ。大きく分けて二つある。一つは、めまい、肩こり、イライラといった不定愁訴。検査しても特段原因が見つからないことが多い。普段から交感神経と副交感神経からなる、自律神経が乱れがちな人に症状が出やすい。

 もう一つは片頭痛や関節痛など、持病が悪化するパターンだ。気象病の中でも、これら痛みを伴うものは特に「天気痛」と呼ばれている。

 「気象病の引き金になるのは、気圧、気温、湿度変化。特に影響が大きいのは気圧で、梅雨や台風の時期は注意したい」と話すのは慶応義塾大学医学部神経内科非常勤講師で、健康気象アドバイザーの舟久保恵美さん。

■脳の混乱が原因

 気圧の変化が気象病を引き起こすのは、「内耳にある“気圧センサー”からの情報に体が適切な対応をできないから」(舟久保さん)。まだ研究段階ではあるが、体の平衡感覚をつかさどる内耳には、気圧の変化を感知し、脳に信号を送るセンサーがあるとされている。

 本来、センサーは気圧の変化に体を順応させるためにあるが、「普段から自律神経が乱れやすい人だと、センサーからの信号を受けて脳が混乱してしまうことがある」(舟久保さん)という。

 気象病の代表的な症状のめまいも脳の混乱で起こる。「平衡感覚の維持には、内耳からと視覚からの2つの情報が一致しなければならない。しかし、気圧の変化を受けて、気圧センサーからは『体のバランスが崩れた』という情報が届き、目からは『崩れていない』という情報が届く。このズレで脳が混乱し、交感神経が興奮して、めまいが生じる」(舟久保さん)

 実は乗り物酔いも内耳と視覚からの情報の混乱で起こる。メカニズムが似ていることから、気象病によるめまいの改善にも、「市販の酔い止め薬が効く」(舟久保さん)という。「酔い止め薬には内耳の血流を改善し、内耳神経の興奮を鎮める効果がある。頭がぼんやりし、症状が出る予兆を感じたら、服用するといい」(舟久保さん)

 ストレスがかかると眠れなくなるなど、自律神経が乱れがちな人は、「普段から適度な運動をし、十分な睡眠を取るなど自律神経を整える習慣を心掛けることが大切」と舟久保さんは助言する。

 一方、天気痛の代表的症状の一つ、片頭痛。もともと片頭痛を抱えた人が、梅雨どきなどの気圧の変化を受けて、症状を悪化させるという。気圧の変化による交感神経の興奮が原因。交感神経が興奮し、収縮した血管が反動で拡張することにより、痛み神経が刺激されるというしくみ。

 気象の変化による片頭痛の予防にも「酔い止め薬が効果的」(舟久保さん)。痛みが出たら、首の後ろや額、眉の下の辺りを冷やすと痛みが弱まるという。「マッサージや入浴は、体が温まり、血管が拡張するので、片頭痛には逆効果」と注意を促す。

■専門の外来も

 関節痛も代表的な天気痛の一つ。症状は特にひざに出やすい。「変形性膝関節症や関節リウマチなどの持病がある人は、雨が降る前に痛みを訴えることが多い」と自由が丘整形外科院長の天本藤緒さんは説明する。

 ひざの痛みは低気圧に、高湿度や気温の低下が重なると悪化しやすいという性質がある。「梅雨どきは除湿が大切」と天本さん。エアコンを使う時は、風がひざに直接当たって冷えないように、ひざ掛けなどで守るようにしたい。ひざが痛んだら温める。「痛む所にカイロを当てたり、手でさすったりするだけでも効果がある」(天本さん)

 痛みは慢性化すると日常生活にも支障をきたすが、他人には分かってもらえないことも多い。「慢性痛を抱える人の4分の1は天気痛が関係し、男性より女性に多い」と話すのは、愛知医科大学病院「学際的痛みセンター」(愛知県長久手市)で天気痛外来を開く医師の佐藤純さん。

 佐藤さんは症状が起きるしくみを調べると同時に、酔い止め薬や高気圧状態を作り出した部屋などを使って、様々な要因が絡み合って起きる痛み症状の緩和や治療にあたっている。

◇            ◇

■頭痛日記をつけてみよう

 気象病による片頭痛に悩まないためには、普段から頭痛日記をつけて、天気の変化と自分の体調との関連性を把握しておくといい。一定期間つけることで、雨の日の前日には必ず痛み始める、などがわかる。天気予報から発生を予想し、仕事や遊びの予定を変更する、薬を飲むなど次善の策をねることもできる。

 頭痛日記が簡単につけられるスマートフォン用アプリも登場している。「頭痛~る」はその一つ。記録を残せるほか、天気予報と連動して気圧を予想し、頭痛のきっけかけを知らせてくれる機能もある。iPhone版とAndroid版があり、いずれも無料で手に入る。

(日経ヘルス編集部)

[日経プラスワン2015年6月27日付]

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