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「気団」同士がけんか? 梅雨のメカニズム

2015/6/16 日本経済新聞 プラスワン

■どうして梅雨っておきるのかな?

 とうとう梅雨入りかぁ。じめじめしてうっとうしい天気ばっかり続いて、いやになっちゃう。なんで、梅雨ってあるのかな。どうして1カ月以上も雨やくもりの日が続くのかな。


■夏になるために空気がけんかするんだ

森羅万象博士より 梅雨は春から夏にかけて季節が移り変わるときに起きるんだ。5月上旬に沖縄で始まって、東日本では7月下旬まで続く。東北が梅雨入りするころには、沖縄は梅雨明けが近い。北海道には梅雨がないが、まれに梅雨のような天気になることもあるよ。

 梅雨は南と北にある巨大な空気のかたまりが押しくらまんじゅうしているんだ。大陸や海の上に空気がとどまると、温度や湿度が似たような「気団(きだん)」と呼ぶ空気のかたまりができる。気団がぶつかると、混じり合わずに境目のあたりに「前線(ぜんせん)」が表れて、押しくらまんじゅうが始まる。

 この時期、日本の北には、冷たい「オホーツク海気団(オホーツク海高気圧)」がとどまっている。南には暖かくてしめった「小笠原気団(太平洋高気圧)」がある。日本付近では、冬から春にかけてオホーツク海気団が優勢だったけど、夏が近づくにつれて小笠原気団が入れかわろうとする。2つの気団の間にできるのが「梅雨(ばいう)前線」なんだ。

 2つの気団の勢力はほぼ同じで、押し合いへし合いの状態だ。それで、梅雨前線は100キロメートルほど南北を行ったり来たりしながら、日本に1カ月以上も居座り続けるんだ。

 梅雨前線には、北からすずしい風、南から暖かくてしめった風が吹き込む。暖かい空気は軽いから、すずしくて重い空気の上に乗り上げる。

 空気は上っていくと膨(ふく)らんで温度が下がるよね。冷たくなるにつれ、空気の中に含むことができる水蒸気の量が少なくなる。前線付近の空では、含みきれなくなった水蒸気が水のつぶになって雲ができる。そして雨が降るわけだ。南北の気団から風が前線へ吹き込み続けるから、雲が次々とできるんだ。

 この2つの気団の押しくらまんじゅうは南で始まる。夏が近づくにつれて力をたくわえた小笠原気団が少しずつオホーツク海気団を押し込む。それで、梅雨は沖縄で始まって北へ向かっていくんだ。

◇            ◇

 梅雨のような天気は世界の他の地域にはない。それはアジア大陸にチベット高原があるからなんだ。高原といっても、高さは平均4500メートルと富士山よりもずっと高く、面積は日本の8倍くらいある。

 日本の上空には「偏西風(へんせいふう)」と呼ぶ強い西風がいつも吹いている。この風は春までは南にあるけど、梅雨のころはチベット高原のあたりを通るようになる。すると南北に分かれて、日本の近くで合流する。北側を通る冷たい風はオホーツク海気団を強める。その結果、小笠原気団との押し合いが1カ月以上も続くんだ。

 梅雨の終わりに近づくと、中国から移動してきた気団と太平洋から来る暖かくてしめった気団がこの押し合いに加わる。梅雨前線が活発になって大雨が降りやすくなる。

 7月末には、小笠原気団の勢いが強くなって、オホーツク海気団を北へ押しやる。すると、梅雨が明けて夏本番だ。春夏秋冬の四季に梅雨を加え、日本には五季があると考える人も多いようだね。

■大雨で土砂くずれも

博士からひこと 梅雨は雨がしとしと降るというけど、これは関東や東北など東日本の話だよ。九州や四国などでは、大つぶの雨が強く降りやすい。西日本では、1年に降る雨の量の3分の1が梅雨の時期に集中する地域もあるんだ。地球温暖化で大雨が増えたと指摘(してき)する研究者もいるよ。
 大雨が降りやすい地域では、毎年のように水害や土砂くずれなどが起きる。特に梅雨どきに台風が日本に接近すると、台風が南の海から運んできた暖かくてしめった空気が前線に流れ込んで、広い範囲で大雨になりやすい。テレビなどで最新の天気予報を聞いて対策をとるようにしたいね。

(取材協力=松本積・気象庁天気相談所所長)

[日経プラスワン2015年6月13日付]

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