マッドマックス 怒りのデス・ロード全篇貫く疾走中の攻防

「マッドマックス」(1979年)、「マッドマックス2」(81年)、「マッドマックス サンダードーム」(85年)の3部作から30年、生みの親ジョージ・ミラー監督自身の手によって、あの暴力と狂気の世界が、不屈のヒーローが、復活した!

早くから映画館で流されていた予告篇(へん)を見たファンは、そのアクションのすさまじさに期待をあおられたことだろう。その一方、こんなシーンがどれだけあるのか、と予告篇への不信感からくる一抹の不安をもつ向きもあるかもしれない。

はたして本篇を見ると、はじめから終わりまで、ほぼ全篇、すさまじいアクションが敷きつめられているのでおどろく。驚嘆の構成とエネルギーと技術のアクション映画なのだ。

核戦争後の荒廃した近未来。愛車インターセプターで荒野をさすらうマックス(メル・ギブソンにかわって新進スター、トム・ハーディー)は、イモータン・ジョー(第1作の悪玉だったヒュー・キース=バーン)が独裁する小さな帝国のような城砦(じょうさい)の捕虜となる。

城砦から、ガソリンをもとめる一隊が出発。マックスは新鮮な血液の供給源として同行させられる。

女戦士フュリオサ(シャーリーズ・セロン)の運転するタンク車が、隊列をはなれ逃走。ジョーの5人の“妻”を解放するためだ。

追跡がはじまる。道中、ほかの賊や族の襲撃もからみ、アクションがやむときがない。第2作と第3作の終盤でくりひろげたような疾走しながらの攻防――祖をたどればジョン・フォード「駅馬車」(39年)のアパッチ襲撃シーン――が、ほぼ全篇をつらぬくのだ。

あの手この手、新しい刺戟(しげき)がつぎつぎとくり出されあきることがない。CGにたよらず、生身のスタントをつきつめているからだろう。監督自身が言うようにこれは、2時間の「目で見る音楽(ヴィジュアルミュージック)」だ。極上の。

★★★★★

(映画評論家 宇田川 幸洋)

[日本経済新聞夕刊2015年6月12日付]

★★★★★ 今年有数の傑作
★★★★☆ 見逃せない
★★★☆☆ 見応えあり
★★☆☆☆ それなりに楽しめる
★☆☆☆☆ 話題作だけど…
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