主要国首相が集まるサミット 意義と役割は

イチ子お姉さん 7日から、G7サミットという大きな国際会議がドイツで開かれたの。日本と欧米(おうべい)の主な国のリーダーが集まって話し合いをしたのよ。
からすけ 来年は日本の三重県でやるってニュースで言ってたよ。いろんな国のトップがわざわざ集まって、いったい何を話し合うんだろう。

政治や経済 トップが話し合い

イチ子 「サミット」って言葉の意味は分かる?

からすけ カタカナだから英語かなあ。

イチ子 そう。英語で「頂上」という意味よ。世界の主要な国の首脳(キーワード)、つまりトップの集まりを指すの。

からすけ 主要な国ってどこ? 日本もなの?

イチ子 ええ。今回のサミットはG7(キーワード)といって、日本と米国、英国、フランス、ドイツ、イタリア、カナダの計7カ国が集まったの。

からすけ サミットっていつから開いているの?

イチ子 1975年からよ。石油を生産する中東地域で戦争が起きて、アラブの国々が石油を値上げして輸出を止めたの。石油危機といって、世界の経済が混乱して大騒(おおさわ)ぎになったわ。日本でも物の値段が急に上がったり、買えなくなったりしたそうよ。

からすけ ばあちゃんが「昔、トイレットペーパーが店から消えた」って言ってた。

イチ子 そう。それで世界で力を合わせて解決しようと、フランスの大統領が日本と米国、欧州に呼びかけて、6カ国のリーダーらがパリの近くのランブイエ城で集まったのがサミットの始まりよ。76年からはカナダも加わり、G7と呼ばれるようになったの。それ以来、毎年集まっているわ。Gはグループ(Group)のことね。

<キーワード>
首脳 国の指導的役割の最高権力者。今回のG7は米国とフランスが大統領、その他は首相が参加する。
G7 主要7カ国(Group of Seven=ジーセブン)の呼び名。外相会議や財務相会議もある。

からすけ ずっと同じメンバーなのかな。

イチ子 サミットが始まったころは、米国と当時ソ連だった今のロシアがけんかしていたの。仲直りしてからロシアも参加し始めて、98年からは8カ国が集まる「G8」になったわ。2008年には中国やインドなど新興国も参加して「G20」と呼ばれる20カ国・地域のサミットが初めて開かれたの。経済が成長する国が増えて、G7やG8だけでは世界の問題を解決できなくなったからよ。

からすけ サミットでは何を話し合っているの?

イチ子 世界の経済や政治、エネルギーなど国際的な問題よ。基本的に首脳会議は年1回で2、3日間集まるの。今回のG7サミットは、環境やエネルギーなどが話題ね。

議論の成果、文書で発表

からすけ 話し合いで何かを決めるの?

イチ子 1つのテーブルを囲んで話し合った成果を「首脳宣言」という文書にまとめて発表するの。参加国は民主主義や自由主義経済といった共通の価値観はあるけれど、皆立場が違うから簡単に意見が合うわけではないわ。

からすけ あれ、確かロシアが加わってG8になったって言ったよね。どうして今回はG7なの?

イチ子 14年に、ロシアがウクライナという国のクリミア半島を自分の国の領土に強引に組み込む事件が起きたの。G8の他の7カ国のトップは怒(おこ)ってオランダのハーグで緊急(きんきゅう)会議を開き、ロシアをメンバーから外したのよ。ロシアで開く予定だったG8の代わりに、ベルギーでG7サミットを開いたわ。だから今回もロシア抜(ぬ)きでG7なの。

からすけ サミットの場所は毎年変わるんだね。来年は日本でやるんだって?

イチ子 ふふ。そうなの。サミットの会場になる国を議長国といって、各国持ち回りで担当するのだけれど、来年は日本がその番なのよ。三重県志摩市の賢島で開くの。「伊勢志摩サミット」という名になる予定よ。議長国は1月から12月まで1年間、サミットはもちろん事前の会議の準備や議事の進行を担当するの。大事件が起きたとき、緊急会議を呼びかけるのも議長国の役目よ。

からすけ 世界のえらい人たちが日本に集まるんだね。何だかうれしいな。

イチ子 でもね、最近は難しい問題が多いから、意見をまとめるのも大変なの。「Gゼロ」という言葉もあるくらいよ。米国の政治学者が使い始めたのだけれど、世界をひっぱるリーダー国がなくなったという意味なの。サミットも、かつてほどの影響力がなくなってきて、役割や成果が改めて問われているわ。

昔は戦争解決のために

渋谷教育学園渋谷中学高等学校の真仁田智先生の話
近代の国際会議は主に戦争後の講和のため開かれてきました。17世紀に欧州で起きた三十年戦争後のウェストファリア会議では、争いを避(さ)けるための主権国家体制が確立しました。第2次世界大戦後には国際連合が発足し、紛争(ふんそう)解決のため、米・英・ソ・仏・中の五大国中心の安全保障理事会に外交・経済・軍事面の制裁ができるよう権限を強化してきました。
グローバル化と多極化が進む現代では、温暖化対策の国際ルールづくりの交渉(こうしょう)が示すように、互いの国益や国内世論の調整に手間取り、国際間の問題解決にかなりの時間と労力が必要になっています。来年のサミットの議長国で国連の非常任理事国にも立候補している日本。戦後70年間、国際社会に貢献してきた存在感を生かし、リーダーシップを発揮する機会が増えるはずです。
今週のニュースなテストの答え 問1=屋久島、問2=2012

[日経プラスワン2015年6月6日付]

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