家族をつなぐアプリ 子供の写真・コメント共有
「今日の夕飯はハンバーグだよ。お手伝いしてくれました」。東京都に住む女性(34)は5歳の息子の写真をアプリで夫と共有するのが日課だ。この日は子どもと夕飯の準備をする様子を写真で送った。「かわいく撮れたね。もうすこしで家につきます」。夫から返信が来た。
Timers(東京・渋谷)が2014年に配信した「Famm」は子育てに特化したアプリ。無料対話アプリ「LINE」のようなメッセージ送付に加え、会話内で送った写真を自動的に保存してアルバムを作成する。写真は月ごとに整理され、子どもの誕生日を設定すれば年齢も表示してくれる。20~30代を中心に10万人弱の利用者がいる。
Fammのような家族間での利用を想定したスマホ向けアプリは増えている。Compath Me(東京・渋谷)の「KiDDY」やウェルスタイル(東京・渋谷)の「wellnote」などが人気だ。いずれも写真のほか、コメントや子どもの育児記録を共有する機能が盛り込まれている。
データはサーバーに
いつも持ち歩いているスマホを使えば、シャッターチャンスを逃さず子どもの写真を撮れる。悩みの種は写真がスマホにたまりがちなことだ。仕事や子育てに追われていれば、写真ファイルを整理したり、印刷したりする時間もとれない。スマホが故障したり、誤操作でデータを消してしまったりすると、大事な写真を失ってしまう恐れもある。
写真の共有機能を持ったこれらのアプリは、データを外部のサーバーに保存する。これがバックアップの機能を果たしてくれるので、個人のスマホからデータが消えてしまっても修復することができる。Timersの高橋才将社長は「大切な思い出を手軽に安心して残せることが子育て世代の支持を集めている」と話す。
フェイスブックやツイッターなどSNS(交流サイト)でも写真や動画の共有はできる。しかし、こうしたSNSは多人数の共有を前提にサービスを提供しており、共有相手を絞り込むには神経を使う。子どもの写真が多数の目にさらされるのはプライバシーの面で心配だという親も多いだろう。
その点、家族交流アプリは共有範囲を夫婦や両親など家族のみに限っている。Fammの場合、共有範囲は2人のみ。夫婦・家族専用なので、アップした写真などが第三者に見られることはない。wellnoteは夫婦だけでなく、その両親とも共有できるので祖父母も楽しめる。
年賀状にもできる
写真共有以外に各社が差別化を図るのが追加機能だ。Fammは共有した写真をフォトアルバムにして毎月1冊、無料で配送するサービスが売り。2冊目からは有料(1冊424円)だが「遠方に住む両親などに送るために、複数作る利用者も多い」(同社)という。
KiDDYは子どもの写真を1枚108円で年賀状にできる。レイアウトを指定して、撮りためた中から採用する写真を選ぶだけで自宅に届けてくれる。wellnoteは子どもだけでなく大人の体重や血圧、血糖値などのデータを記録。夫などの健康管理に活用できる。
今回紹介したアプリは基本機能を使うだけならどれも無料だ。機能を絞りシンプルにすることで、スマホ初心者でも簡単に操作できる工夫がされているものが多い。家族で複数のアプリを試してみて、自分にあったものを選ぶのも良いだろう。
(証券部 井川遼)
[日本経済新聞夕刊2015年6月4日付]
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