家庭で高級感あるカルパッチョ作りたい

生の魚介類は刺し身で食べることが多いが、夏に向け、見た目に涼やかな「カルパッチョ」にしてみるのはどうだろうか。ソースに工夫を凝らせば、ちょっとしたぜいたくな味わいが楽しめる。家庭でも失敗しない、素材の切り方や味付けなどのコツを専門家に教えてもらった。

レモン汁でさわやかに

カルパッチョはイタリア料理の一つ。一説に、生の牛肉にマヨネーズとマスタードのソースをかけた料理として生まれ、やがて生の魚介類も使うようになったとされる。ソースも、オリーブオイルやレモン汁にスパイスなどを加えたものになっていったという。

(手前から時計回りに)「カツオのわら焼きカルパッチョスタイル」「マグロのカルパッチョ」「マリネしたマダイのカルパッチョ」=写真 井口和歌子

ガラスの皿に白いマダイの切り身とオリーブ色のソースが映える絵のような一皿。家庭で手に入る魚介類のカルパッチョを、京王プラザホテル(東京・新宿)の総料理長の市川博史さんに作ってもらった。マリネしたマダイを使うカルパッチョはすっきりした酸味が口中に広がる。

細かく計量しなくても失敗しないソース作りのコツは「液体を入れる前に、塩とコショウをボウルに入れること。目で量を確かめられる」(市川さん)。仕上がりの味が物足りない時、塩かコショウかどちらを足せばいいか分かる。

塩、コショウをレモン汁で溶かしたら、最後にエキストラバージン(EXV)オリーブオイルを少しずつ混ぜ合わせ、とろみをつける。「レモン汁や酢の酸味とオリーブオイルの比は1対3が基本」と助言する。

白い皿の縁に花などを置き、その上にガラス皿を重ねて、マダイを放射線状に並べる。赤(レッドアマラン)、緑(チコリフリーゼ、マーシュ)、白(ラディッシュ)を散らすと涼しげな盛りつけになる。

カツオにも河内晩柑をかけておく=写真 井口和歌子

マグロにはわさび菜を使うと、しょうゆにも合う。今の時期のカツオには、赤と黄のパプリカと大葉、ミョウガのみじん切りを混ぜ合わせ、ポン酢を加えたラヴィゴット風ソースが合う。グレープフルーツに風味の似た河内晩柑(かわちばんかん)の搾り汁を加えると、さわやかさが際立つ。カツオに晩柑の実をのせ、ソースをかけて食べると、酸味と甘みがほどよく溶け合う。

「ラヴィゴット風ソースは夏に向けて、タコのカルパッチョに使ってもいい」と市川さん。白いタコに、赤いソースが映える。さっぱりした味にしたいなら、ソースにかんきつ類の搾り汁を使うといい。

魚を切る時は、包丁の刃の根元近くから入れ、長さと重さを利用しながら、手前に引くように切る。のこぎりのように前後に動かすのは禁物。切り口がボロボロになる。薄切りにしたい時は、冷凍マグロなどを買い、半解凍の時に削るように切るとよい。

魚とワイン 色合わせて

カルパッチョにはワインを合わせてみたくなる。生の魚介類とワインは相性があまり良くないとされてきた。ワインに含まれる鉄分が、魚介類に含まれる脂分と絡んで臭みをもたらす場合があるからだ。

メルシャン生産統括部の田村隆幸さんは「オリーブオイルが臭みを抑えてくれる」と指摘する。カルパッチョだけでなく、西洋の魚介料理はオリーブオイルやバターなどを使い、臭みを抑えたものが多い。ワインを選ぶときは「赤身魚のカルパッチョには赤ワイン、白身魚には白ワインがお薦め」(田村さん)。

カルパッチョの主役は魚介類や肉だが、「野菜を多くしたい時は少し火を通すといい」というのは、ロイヤルクイーン自由が丘料理教室(東京・世田谷)の講師で管理栄養士の勅使河原容子さん。乱切りのナスと1センチ角に切ったパプリカを鍋に入れ、50ミリリットルの水で火にかける。「生だと硬いパプリカの皮も蒸すと食べやすい。ビタミンなど栄養素も逃げない」(勅使河原さん)。一方、魚介類のドコサヘキサエン酸(DHA)などは生のほうが摂取しやすいという。

素材とソースの組み合わせを工夫すれば栄養も満点で見た目にも美しい一品になりそうだ。

(川鍋直彦)

[日経プラスワン2015年5月30日付]

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