夕焼けが赤いのはなぜ?

空は青くて夕焼けは赤い…どうして?

スーちゃん 今年は「国際光年(ひかりねん)」なんだって。お父さんと科学館へ行ったら太陽の光が7色に分かれるという実験をやったよ。虹(にじ)がきれいなのも光が7色あるからなんだね。空が青く夕日が赤いのも光の性質が理由だって。海の青も同じなのかな。

色の正体は光、その散らばり方によるよ

森羅万象博士より スーちゃんがやったのはプリズムの実験だね。太陽の光をプリズムに通すと、「赤」「だいだい」「黄」「緑」「青」「あい」「紫(むらさき)」の7色の光に分かれて出てくる。

この実験は英国の有名な科学者アイザック・ニュートンが初めて手がけたといわれている。太陽の光が白っぽく見えるのは、さまざまな色の光が混ざっているからなんだ。

光は空気や水などの中を波のように伝わる。顕微鏡(けんびきょう)でも見えないくらいだけど、波の長さが色によってちがうんだ。この波長は赤は長く、緑は中くらい、青や紫は短い。波長の長さによって、光の性質もちがってくる。

光が空気から水にななめに横切ると、「へ」の字のように曲がるよね。「屈折(くっせつ)」と呼ぶ現象だ。たとえば、水に入れたストローが曲がって見えるのは、光が水と空気の境目で屈折するからなんだ。

プリズムはガラスでできていて、太陽の光が通るときに空気とガラスの境目で屈折する。波長が長い赤い光は小さく曲がり、波長の短い青や紫は大きく曲がる。緑や黄色は中くらい。だからプリズムを出たときに、7色の光に分かれるってわけだ。

虹が7色なのは、雨がふった後に空気中にうかぶ細かい水のつぶがプリズムの働きをしているからなんだ。

昼間の空は青く、朝や夕方は赤く見えるのも、波長によって違う光の性質が関係しているよ。

空気は窒素(ちっそ)や酸素、ごくわずかの二酸化炭素などの気体が集まっていると学校で習ったよね。これらは目に見えない「分子(ぶんし)」という非常に小さなつぶでできている。

波長が短い紫や青の光のほうが、大気中の分子とぶつかって四方八方に散らばりやすいんだ。逆に、波長の長い赤などの光は散りにくい。

朝や夕方の太陽は低く、光はななめから差し込むよね。地球を取り巻く大気の厚みはどこでも同じなので、朝や夕方の光は大気の中を長く通る。青い光はどんどん散ってしまって、地上にいる人の目にあまり届かない。赤やだいだいの光はそれほど減らないから、空が赤く染まる。昼間は大気の中を通る距離が短いから、空いっぱいに散らばった青の光が地上に届く。それで青く見えるんだ。

雲が白いのはちょっとしくみが違うよ。雲を作るごく小さな水のつぶにぶつかると、どの色の光も同じように散らばるから、白く見えるんだ。

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海が青いのは水の分子が波長の長い光ほど吸収しやすいからだよ。赤などの光は吸収されて、残った青の光が海底などで反射するから、海全体は青く見えるわけなんだ。

光の屈折や反射といった原理をつきとめたのは「光学の父」といわれる中世の科学者イブン・アル・ハイサムだ。今年は彼が「光学の書」という本を出してちょうど1000年なので、国連が国際光年に定めたんだって。科学館などで光に関係するいろいろなイベントがあるから、行くと楽しいし、勉強になるよ。

同じ世界が違う色に

博士からひこと 青と赤、緑の3つの光を混ぜると白くなる。これが「光の3原色」。色の場合は青と赤、黄の3つが混ざって黒色になる。これは「色の3原色」と呼ぶ。
実は、生物の種類によって光の見え方がちがうんだ。人間やチンパンジーなどの霊長(れいちょう)類の一部の目には、青と赤、緑を見わける細胞が3種類ある。イヌやネコには色を見わける細胞が2種類しかないため、赤色はよくわからないらしいよ。鳥や魚などは4種類の細胞で、人間には見えない紫外(しがい)線を感じることができる。鳥は森の中の果実や虫が反射する紫外線を目印にしているのもしれないね。

(取材協力=江馬一弘・上智大学教授)

[日経プラスワン2015年5月23日付]

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