私にぴったりの香水、好きな香り試して選ぶ
好きな香り、試して選ぶ
「洋服と違って、香りは目に見えないので、自分では似合うかどうか分かりにくい」と話すのは、フランスの老舗化粧品ブランド、ゲランの西原慶さん。同社独自の香りの資格「フレグランス コネスア」をアジアで唯一、保有する香りのエキスパートだ。
帝国ホテル(東京・千代田)の店舗「ラ ブティック ゲラン」では、西原さんが一人ひとり客の嗜好や生活様式に合わせて提案している。好きな匂いだけでなく、食事やお酒の好み、幼少時の記憶に残る良い香りなどをじっくり尋ねる。
14の香りをかいでもらい、好きか嫌いか答えてもらう。最後に80ほどある製品の中から3つを選び出す。サービス自体は無料だが、1人1時間ほどかけるので予約が必要だ。
香水の輸入販売大手、ブルーベル・ジャパン(同・港)でも、「パルファム ソムリエール」と呼ぶ専門家が百貨店などで香水選びを手伝う。好きな服装や色、休日の過ごし方などを聞いていく。ソムリエールの高橋恵さんは「職場で使いたいのか、休日用なのかで提案も違ってくる」と話す。
ソムリエールと一緒に選んだ山本綾子さん(仮名、36)は「柔らかい花の香りが合うと勝手に思い込んでいたけれど、新しい香りに出合うきっかけになった」と喜ぶ。香りには花がメーンの「フローラル」のほか、濃厚でエキゾチックな「オリエンタル」などがある。「湿度が高く、欧州に比べると香りが重く出がちな日本ではフローラルを選ぶ人が多い」(高橋さん)。
どんな香りが好きか分からない、という人は「店で4つほどかいでみて」と日本調香技術普及協会の堀田龍志理事長。タイプの異なる香りを出してもらい、大まかな好みをつかむ。まずは試香紙(ムエット)に吹き付ける。「最初は刺激が強いのでいきなり鼻の近くにつけず、少し置くか、振ってからゆっくりかぐとよい」(堀田さん)。
好きな系統を見つけたら、その中で複数試し、気に入ったものを手の甲や手首に乗せてみる。香りを色と結びつけたり、「甘い」「明るい」「冷たい」など五感に基づく言葉で表現したりすることで「初心者の人にも香水の世界がなじみやすくなる」(堀田さん)。意識してかぐうちに違いが分かってくる。ワインや日本酒と同様に、自分の好みを把握できれば香水選びが楽しくなってくるはずだ。
仕事用・休日用 分けて
香水は香料の濃度でオーデコロン、オードトワレ、オードパルファム、パルファムに分類できる。順に濃く、持続時間も長くなる。鼻は香りに慣れてくるので、気づかないうちに量が多くなっていることもある。不快にしない強さを考えよう。足首、ひざ、手首、うなじ、耳の後ろなどにつける。顔周りは強く香ってしまうので要注意だ。
日によって使い分けるのもいい。高橋さんのおすすめは、仕事用と休日用で分けること。「嗅覚は本能をつかさどる脳につながっている。香りを変えることでスイッチをうまく切り替えられる」と話す。
近年は「ニッチフレグランス」と呼ばれる欧米発の個性豊かなブランドが台頭している。天然の香料にこだわっていたり、重ねづけを楽しめたりするものも多い。性急に決めず、ぴったりの1本をじっくり探したい。
(関優子)
[日経プラスワン2015年5月23日付]
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