多機能調理家電、本当に便利か 実力を確かめた

電子レンジほど高額ではないが、様々な料理を1台で作れるとうたった多機能調理家電が注目されている。タイマーを設定しておくだけで料理を完成させてしまう機種もあるという。焼く、煮る、揚げるなど、いろいろな料理法でその機能を試し、実力を確かめた。

家電量販店で見つけたのが「マイコンテーブルクッカー」(タイガー魔法瓶)。鍋物、焼く、煮る、揚げる、蒸すの1台5役で、名前通り卓上調理ができる。一人暮らしや夫婦・シニア世帯にはいいサイズだ。たとえば、揚げるときは深鍋に700ミリリットルの油を入れ、揚げ網付きのガードを乗せて。蒸すときは深鍋と蒸しプレートのセット。火加減を選べ、蒸す、煮るという時間のかかる料理にはタイマーを設定できる。カボチャの煮物は「煮込み」設定で30分。ねっとり柔らかく味のしみ込みも十分だった。

便利だなと思ったのは揚げ物だ。油の温度をセ氏180度に自動コントロールし、ピピッという音で適温を知らせてくれる。アジフライが簡単に、からりと揚がり熱々のまま食べられた。

■アヒージョなど おつまみ簡単に

マイコンテーブルクッカーよりさらにコンパクトな「レコルト ポットデュオエスプリ」(ウィナーズ)を東急ハンズで見つけた。火加減も含めすべて手動でタイマー機能はないが、雑貨のようなかわいい見た目とは裏腹に十分おいしく出来上がる。

1人暮らしならグリルプレートから直接食べてもいいくらいのコンパクトさ。冷蔵庫の余り物でワインのつまみ用にキノコのアヒージョなどを作ってみたが、ちょこっと何かを作りたいときに便利だ。揚げ物にはステンレスボウルを使うので、マイコンテーブルクッカーより早く温度が上がる。心なしか仕上がりもカラッとジューシーだ。ただし、マイコンテーブルクッカーもそうだが、串焼きはちょっと厳しい。1串に3つも具材を刺すと、上の方が油に浸らないのだ。

これら2つは卓上コンロ的な使い勝手だが「ティファール アクティフライ」(グループセブジャパン)は“機械にお任せ”型。フライパンに付いたパドルの回転と熱風の循環により、揚げる、いためる、煮込み・その他の3モードを備える。各モードで温度とパドルの回転の仕方が設定されており、具材をフライパンに入れた後は具材返しを取り付けてふたを閉じ、モードとタイマーをセットする。フライはパン粉に油を少し混ぜるだけで調理できる。

実際に動かしてみると電子レンジ並みの稼働音がする。半透明のふた越しに具材がかき回されている様がわかる。かき混ぜて作る料理には強いわけだ。熱風で加熱するのでチャーハンやカツなどパラパラ、サクサクといった食感が決め手の料理もいける。汁気たっぷりのビーフストロガノフやミルクスープもおいしくできた。付属のレシピ集に載るメニューを見ても、そういった料理がお得意なようだ。

半面、カボチャの煮物や肉じゃがなど定番の煮物系は付属レシピ集に見当たらない。用意されたメニューが32と少ないのが残念だが、加熱中の10~20分を別なことに使えるのはありがたい。

レシピ集にあるのはすべて2人分だ。野菜いため1人分をレシピの設定で作ってみたら、野菜がパサパサになってしまった。2人分の設定では時間が長すぎたのだろう。ティファールPR担当のエリクソン容子さんに聞くと「レシピ通りではない材料や分量の場合は、時間を短めに設定して仕上がりを確認しながら、追加加熱していくといい」とのこと。

■大きさ炊飯器並み 置き場に困るかも

では、レシピにない料理を作りたいときはどうするか。「似たタイプのメニューを参考にして設定してみて」。う~ん、うまくいくのかどうかヒヤヒヤしながらお任せしちゃうのもいかがなものか。それなら自分で作ってしまった方が早いような……。

イマイチ便利さを実感できないので、家電コーディネーターの戸井田園子さんに聞いてみた。戸井田さんは昨年の「オールアバウト家電アワード」でアクティフライをベスト5の1つに挙げている。

「加熱中も目の離せない子どもがいる家庭では便利です」。あ、なるほど。その視点、独身の自分には思いつかなかった。「調理に不慣れな10代の子どもに『夕飯は自分で作っておいて』というときも」。うんうん、働く母親ならそういうこともあるはず。レシピ通りでないと調理できない夫などにも有効だろう。

ちなみに多機能調理家電の最高峰はスチームオーブンレンジだ。そのオートメニューを利用した場合と、アクティフライでレシピ通りに作った場合を比べるとどうか。鶏の空揚げや海老フライでは、味の趣に違いはあるが、出来栄えにさほど違いはなかった。

ただアクティフライの場合、大きさは炊飯器並み。キッチンにはすでに電子レンジが鎮座している家庭が多いだろう。いい置き場が見つからないと、新たに買う気にはならないかもしれない。

豚肉とネギの中華風いためはまずまずだった(写真左)が、肉じゃがはしらたきが固まってしまった
記者のつぶやき
■レシピないと一苦労
アクティフライでレシピ集にないものにも挑戦した。いつもはコンロで作る豚肉とネギの中華風いためはまずまずだったが、カボチャの煮物は硬くなってしまった。肉じゃがは最も近そうな「牛肉のすき煮」で設定したら、しらたきがあめ細工のように固まった。戸井田さんに教えを請うと「まずはガスコンロで作るときの要領で分量と時間を設定して作ってみて」。ふた越しに見て焦げそうだったら止めればいい。
考えてみれば、多機能調理家電に比べてずっと高機能で高価なスチームオーブンレンジでも、オートメニューではレシピ通りでないと失敗しがち。使いこなすには経験を積まないとね。
(福沢淳子)

[日経プラスワン2015年5月23日付]