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1コインでプチ健康診断 血液検査で中性脂肪・肝機能… コンビニ・スーパーで気軽に

2015/5/1 日本経済新聞 夕刊

測定項目を絞り、短時間で血液検査をする「プチ健康診断」が広がってきた。コンビニエンスストアやスーパーなど身近な場所で受けられ、料金は500円程度からと安い。利用者は自分で指先から血液を採取する。健康診断を受ける機会が少ない主婦や、生活習慣病が気になる中高年の健康維持に役立ちそうだ。

「中性脂肪の値が高めだったよ。飲み過ぎと甘いものの食べ過ぎに気をつけよう」。コンビニに調剤薬局が併設された「ファミリーマート+ファーマライズ薬局末広町店」(東京・千代田)。40代の女性2人が血液検査の結果に見入っていた。5分前、薬剤師の説明を受けながら細い針が付いた親指大の器具を自分の指先に押しつけて採血したばかりだ。

コンビニで薬剤師の説明を受け指先から血液を採取する女性会社員(手前)=東京都千代田区

同店は昨年11月、店頭で血液検査ができるサービスを始めた。500円で「ヘモグロビンA1c」など最大4項目を計測できる。寺島裕子店長は「コレステロール値が高いから運動を心がけるなど、自分の体を知る一歩にしてもらえたら」と話す。

病院や職場で行う一般的な健康診断は、約10項目の血液検査を胸部X線や心電図など他の検査と合わせて実施し、1時間程度かかる。料金は1万円ほどだ。これに対しプチ健康診断は血液検査に絞るため時間が短く、料金も安い。場所の制約も少ないのが特徴だ。

運営する調剤薬局大手ファーマライズホールディングスによると、同店ではこれまでに30~50代の会社員を中心に約60人が利用し、2~3カ月おきに訪れる常連もいるという。同様のサービスを提供する食品スーパー2店では、定期的な健康診断を受ける機会の少ない主婦の利用が多い。

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厚生労働省の国民生活基礎調査(2013年)によると、過去1年間に健康診断や人間ドックを受けた人の割合は男性で67.2%、女性で57.9%。受けない理由(複数回答)として「時間がとれない」「面倒だから」「費用がかかる」を各約15~約20%があげた。

体調に不安のある高齢者が訪れるのが、京王線高幡不動駅ビル(東京都日野市)で、簡易健康診断サービスのケアプロ(東京・中野)が運営する健康診断専門店。「2カ月前より血糖値が下がりましたね」。看護師の猪瀬亜紀子さん(29)が告げると、診断結果を見た男性(78)は「歩く時間を増やした効果が出たかな」と笑顔をみせた。心臓にペースメーカーを入れる男性は主治医の診察に備え、体調管理の目安として数値を確認しているという。

ケアプロは駅ビルなどで3店舗を開き、料金は500円から。「γ―GTP」(肝機能)や骨密度まで最大12項目を測定できる。落合拓史・予防医療事業部長は「気軽に自分で検査する文化を広めたい」と話す。

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健康ライフコンパス(東京・千代田)が運営するサービス「じぶんからだクラブ」では、体調改善の意欲向上を狙ってスマートフォンやパソコンの専用ページで過去の検査結果をグラフで比較して見ることもできるようにした。

利用者は自分で採取した血液を遠心分離機にかけ、検査に必要な血漿(けっしょう)を店員に渡す。早ければ1週間後に診断結果が分かる。料金は約3千円で、「クレアチニン」(腎機能)や尿酸など13項目を検査できる。全国約280のドラッグストアと調剤薬局で実施し、「今年度中に千店での展開を目指している」(同社)。

血液検査だけでは発見できない疾患もある。疾患の予防や早期発見につなげるため、他の健康診断とうまく組み合わせた有効な使い方が効果をあげそうだ。

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■規制緩和が後押し

コンビニやスーパーなどを利用したプチ健康診断が広がったのは、国の規制緩和がある。これまで検査を受ける人が自ら採血する行為は法規制の対象か明確でなかったが、健康や介護分野での新ビジネスを後押しするため昨年、適法との判断が示された。

昨年施行された「産業競争力強化法」を契機に、厚生労働省と経済産業省は「健康寿命延伸産業分野における新事業活動のガイドライン」を公表。医師法や健康保険法などの法規制があり、企業などが事業化をためらいがちな医療・介護の5分野について適法の事業範囲を示した。

民間事業者による自己採血での血液診断の実施のほか、医師の助言に基づいた運動や栄養指導、医療機関などと情報を共有した生活支援サービスの提供、医療法人による通院患者への病院食の配布などが一定の条件のもとで認められた。

(大西康平、小川知世)

[日本経済新聞夕刊2015年4月30日付]

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