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「日韓近代美術家のまなざし」展半島での互いの活躍発掘

2015/4/21

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20世紀前半、日本の統治下にあった朝鮮半島で日韓の美術家はどんな表現に取り組んだのか。

画題を求めて旅したり、朝鮮美術展覧会の審査員に招かれたりした土田麦僊、藤島武二らはこれまで日本でも紹介されてきた。しかし、同時代を生きた両国の美術家の作品210余点が一堂に会するのは初めてのことだろう。神奈川県立近代美術館葉山で始まった「ふたたびの出会い 日韓近代美術家のまなざし――『朝鮮』で描く」展である。

冒頭で人々の暮らしぶりや名勝地などを描いた絵をずらりと並べ、実に多くの日本人画家が現地に赴いたことをまずは伝える。韓国からの出品作はもちろん、日本の美術史が取りこぼしてきた分野だけに「発見」が多い。たとえば朝鮮半島で生まれたり暮らしたりした日本人画家の存在だ。

加藤松林人(1898~1983年)は1918年に現在のソウルに移住した。終戦で帰国後も2国間の交流に尽くした画家だが、日本ではほぼ無名。現地になじんで暮らし、終戦後に帰国した加藤のような美術家の大半は、日本で華々しい活動ができないまま忘れられていったという。「朝鮮時代女人像」は韓国の収集家の手で守られた1作。日本初公開となる。

1916年大邱生まれの入江一子は美大入学のため初来日するが、戦況の悪化で故郷への思いを募らせ“帰郷”。大邱を描いた「洗濯」には異国趣味とは異なる情感が流れている。

植民地という当時の時代背景を考えれば、エキゾチックな女性像に「支配/被支配」の関係性も読み取れよう。けれども「朝鮮」に向けたまなざしには多様な思いが込められていたはずだ。それらを一刀両断はしないという姿勢が同展の背骨になっている。5月8日まで。5都市を巡回する。

(編集委員 窪田直子)

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