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新社会人や転勤で環境変わり不安…新しい職場にうまくなじもう 郷に入っては郷に従う 実績上げてから意見、雑用を率先

2015/4/16 日本経済新聞 夕刊

春から新社会人になったり、異動や転勤で新しい部署に移ったりと、新天地で戸惑っている人も多いのではないだろうか。早く職場環境になじむことが、スムーズに仕事をするうえでは欠かせない。まずは基本動作を身につけよう。

「突然、地方勤務が決まって何も準備ができていない。転職したように会社生活が一変してしまい不安」。こう漏らすのは大手人材会社に勤務する小野田靖さん(仮名、30代)。これまでの経験や人脈を生かせない新しい環境に飛び込むのは誰でも緊張する。

だが、「一歩社会に出たら自分がどう感じるかではなく、常に相手の視点に立つこと。そうすればおのずと道は開ける」。人材育成の研修・セミナーなどを手掛けるWoomax(東京・千代田)の竹之内幸子社長はアドバイスする。

■自己紹介気負わず

例えば、初対面での自己紹介。苦手な人も多い。「うまくやろう。できる人材だと思われたい」などと気負うと失敗しがちだ。相手とスムーズに仕事を進めるためにどうすればいいか、という視点があれば、ありふれた自己紹介であっても自然と好印象になると竹之内さんは言う。

大所帯の部署では顔と名前を一致させるのが大変という声も多い。取引先であれば名刺に印象や話したことを書き込むなどの方法が一般的だが、名刺交換をしない社内ではそういうわけにもいかない。全部をいきなり覚える必要はない。まず自分が業務上で関わる人から顔と名前を覚えるなど優先順位をつけて徐々に覚えればいい。

最近は自由に意見を言うことが尊重される向きがあるが、やはり組織では「郷に入っては郷に従えも重要」(竹之内さん)。以前の職場と異なるやり方や非合理的に見えるやり方でも、まずは素直に受け入れる姿勢も大切だ。意見を言うのはある程度、職場で実績を上げてからということに留意しよう。

職場になじむとはどんな状態だろう。竹之内さんによれば、「仕事をきっちり覚え、社内用語や手法などについて質問することが無くなった状態」。職場は仲良しクラブではないので、いくらプライベートの話で親密になったとしても職場に溶け込んだことにはならない。

積極的に仕事を引き受ける

雑用といわれる仕事を積極的にこなすことも重要だ。コピー用紙の補充やシュレッダーのごみ処理から資料作りの手伝いまで、周りの人たちが仕事しやすい環境を整える。そうした行動が評価され、職場で認知される。人事コンサルタントの新田龍さんによると「能力があってもうまくいかない人と、そこそこでもうまくいく人の違いは、当たり前のことをしっかりやっているかどうか」という。

新人にとって、忙しそうな先輩や上司に話しかけるのは勇気がいる。一昔前なら喫煙ルームで人脈作りができたが、健康志向の高まりもあり喫煙者は減る一方。そこで「デスクの片隅に自由に食べてもらうためのお菓子コーナーを作ってはどうか」と竹之内さんは提案する。

ちょっとした休憩に立ち寄ってもらう仕掛けを作ることで、リラックスして話をすることができる。セクシュアルハラスメントやパワーハラスメントへの懸念から、「管理職は容易に若い人に声をかけづらい環境にある」(竹之内さん)。若手からどんどん声をかける努力も必要だ。

■何でも質問しない

ただ、「上司、先輩はインターネット検索のグーグルではない」と竹之内さん。ネット検索をする気分で何でも聞くのではなく、自分でも一通り調べたうえで、どんな業務のために何を知りたいのかはっきりさせることが重要だ。業務中はすべて給与が発生している時間。相手の時間を奪うという自覚を持って責任ある行動を心がけるべきだ。

最近は、無料対話アプリLINEなどの浸透で、チャット感覚で話しかけてくる若手が多いという。自分の都合で相手の時間を構わずメールや質問をしたり、自分の聞きたいことだけ聞いたらさっさと席に戻ってしまったりなどは、礼を失する態度。きちんと最後まで話を聞き、質問がある場合は事前に論点を整理しよう。

新しい環境では覚えることも多く、忙しい割には手応えのない時間を過ごしたと感じる場面も多いだろう。そうならないよう、日々の小さな目標を手帳などに書き込むことも意欲を高めるうえで効果的だ。最初は「始業30分前に出社しメールチェックを済ませる」などの小さな目標でいい。日々積み重ねていくことで目標の中身が洗練されていく。

「周囲に信頼され応援してもらえる人になることが重要」と新田さんは言う。基本を忘れず、柔軟な姿勢で新しい職場のルールを身につけ、新生活を踏みだそう。

[日本経済新聞夕刊2015年4月13日付]

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