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食道炎?長引く胸の違和感・痛み

2015/4/16 日本経済新聞 プラスワン

胸がギュッと締め付けられる、ピリピリ痛む、焼けるようにムカムカする――。心電図をとっても心臓に大きなトラブルは無いと言われるのに胸の痛みや違和感が続き、不安に感じている人もいるのではないだろうか。症状の違いから思わぬ病気の可能性を探ることもできる。予防や早めの治療で重症化を防ぐことが大切だ。

行楽や歓送迎会が相次ぐこの季節、ついつい飲み過ぎ食べ過ぎになることも多い。夜更かしで寝る直前まで食べることも。そんな生活習慣のある人が食後に胸がむかつくような違和感や痛みを感じるようなら、胃食道逆流症の可能性が強い。

■食後に胸焼け

逆流性食道炎とも呼ばれる。痛みの原因は酸性の強い胃酸が逆流することによる食道のただれ。暴飲暴食が続くと「胃の入り口で胃酸の逆流を防ぐ筋肉が緩み、胃酸が食道まで逆流する」と、日本医科大学付属病院(東京都文京区)消化器・肝臓内科の岩切勝彦教授は解説する。

よくある症状は食後の胸焼け。げっぷと一緒に酸っぱい液体や苦い液体がこみあげてくる。正体は胃酸などで、健康なら逆流しても食道のぜん動運動で胃へ戻すことができるが、この働きも落ちて胃酸が食道にとどまる時間が長くなると粘膜に炎症がおきる。

誰でもなる可能性はあるが、特に肥満気味の中高年男性は要注意だ。防ぐには暴飲暴食や早食いをやめ、就寝前3時間は食べないようにするなど、食習慣の改善が一番。「便秘だと胃が圧迫され、逆流しやすいので便秘の改善にも努めたい」(岩切教授)

胃酸を抑える薬として、薬局などでも買えるH2ブロッカーをのむ人も多いが、なかなか効果が出ない時は、受診した方がいい。「H2ブロッカーは、日中の胃酸分泌を抑える力が弱いとされる。病院ではより強力に胃酸を抑える薬(プロトンポンプ阻害薬)を使い、多くの場合症状は改善する」(同教授)

一方で食道には炎症がないのに知覚過敏で胸焼けを感じる「非びらん性胃食道逆流症(NERD)」もある。「この病気は食習慣の見直しと併せてストレス軽減も大切」(同教授)

片方の胸の皮膚の表面に強い痛みやピリピリする感じがあり、そのあたりに発疹が出たときには帯状疱疹を疑ってみる。原因と考えられるのは子どもの頃にかかった水ぼうそうのウイルス。「神経に潜んでいたものが、大人になって免疫力が落ちた時に再び活動を始めることがある」と、まりこの皮膚科(横浜市鶴見区)の本田まりこ院長は説明する。

発症を抑えるには、免疫力が低下しないよう過労を防ぐ。アトピー性皮膚炎や糖尿病、妊娠中の人、がんの人も免疫が落ちやすくかかりやすい。保険は利かないが、あらかじめ水ぼうそうの予防注射で免疫力を強める方法もある。

症状が出てしまったら、慢性的な痛みが残らないよう早めに皮膚科を受診するのが望ましい。神経が傷害されて強い痛みと赤い発疹が出た後、水ぶくれのような状態になるが、慢性化を防ぐには「発疹が出始めて3日以内に抗ウイルス薬の服用で、神経の破壊を最小限に抑えるのがポイント。放置しないでほしい」(本田院長)

■寝ていても痛む

30代から50代の女性が、安静にしていても胸が締め付けられるように痛む「胸痛発作」が起き、水を飲んでも治まらない場合は、微小血管狭心症かもしれない。少し聞き慣れないこの病気は、圧倒的に女性に多い。

通常の狭心症が心臓に酸素や栄養を送る冠動脈という太い血管が詰まって起きるのに対し、「心臓の血管の中でも非常に細い血管に問題が起きる。月経不順や更年期の女性ホルモンの急激な低下、冷え、ストレスなどが引き金になる」と静風荘病院(埼玉県新座市)女性内科・女性外来医師の天野恵子さんは指摘する。

「命にかかわる病気ではないので心配しすぎる必要はない」(天野さん)というが、つらい症状が続く。予防のためには、引き金となりやすい冷えや睡眠不足をなくし、ストレスとうまく付き合うことも大切。

残念ながら一般的な狭心症の治療薬であるニトログリセリンが効きにくい。そのため、症状緩和のために温めるなどの処置をする。このほか最近の研究によって、「血管拡張作用があり、脈を遅くするタイプのカルシウム拮抗薬で治療すると発作が治まることも分かってきた」と天野さんは話す。

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■一過性のことも まずストレス解消

胸が痛くなる病気はほかにもある。例えば、肺の一部に穴が開き、漏れた空気が肺を圧迫して痛む気胸(ききょう)。男性に起きやすく肺のレントゲン検査でわかる。自然に治ることが多い。女性はまれだが月経前後に発症するタイプもある。

胸から脇腹、背中にかけて起こる突発的な痛みは、「肋間(ろっかん)神経痛」のこともある。あばら骨(肋骨)の間にある神経が何らかの原因で圧迫されて痛む。多くの場合、片側にだけ痛みが出る。原因不明のことが多く、しばらくして治まるようなら、疲労やストレスがたまっているサインの可能性も。まずはストレス解消から始めよう。

(日経ヘルス編集部)

[日経プラスワン2015年4月11日付]

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