女性の「知りたい」、スマホが答える まとめサイト花盛り
写真多く読みやすく
「毎日新しい記事が更新されるので飽きないし、写真がすごくきれい」と話すのは都内のインターネット関連企業に勤める佐藤蘭さん(24)。お気に入りのサイトはWondershake(東京・目黒、鈴木仁士社長)が運営する「Locari(ロカリ)」だ。
ファッションだけでなく流行のスポットや海外旅行の情報など、幅広いジャンルの記事が配信されている。写真が多く使われる一方で、記事の分量は短め。「忙しくてもちょっとした時間に気軽に読める」(佐藤さん)ことも魅力という。
ロケットベンチャー(東京・渋谷、龍川誠社長)が運営する「4meee!(フォーミー)」は、すべての記事が写真と文章を合わせた4コマで構成されるのが特徴。モデルや女子大生など約250人の筆者が書いた独自記事を配信する。
女性向けキュレーションサイトが次々登場したのは昨年ごろからだ。大画面のスマホが普及してきたことで、高画質の写真をふんだんに使った雑誌に近い記事を配信できるようになったことが背景にある。
女性向けファッション雑誌では春物など季節ごとのトレンドを発信するが、ネットでは日差しが強くなってきたら紫外線対策の記事を配信するなど、臨機応変に対応できる強みがある。
大手ネット企業も参入している。サイバーエージェントが手がけるのが「by.S(バイエス)」。上質な生活を求める大人の女性向けという位置づけで、サイトのレイアウトも落ち着いた印象だ。
ヤフー子会社のTRILL(東京・港)が手がける「TRILL(トリル)」は「ヤフー!ビューティー」の姉妹サイトで、コンテンツの豊富さが最大の特徴だ。
アプリでは独自記事と提供元からの配信記事を合わせて、毎日500本以上を更新する。「見ていて飽きない、ついつい空いた時間に見てしまうという声をユーザーから聞く」(TRILLサービスマネージャーの森本美妃さん)。アプリのトップページは毎日厳選した9本の記事を表示するため、短い時間でも情報収集できる。
恋愛や仕事関連も
DeNAが昨年9月に買収したペロリ(東京・渋谷、中川綾太郎社長)が運営するMERY(メリー)は、18~23歳の若い利用者が多い。「クロエ」などのファッションブランドが公式のまとめ記事を発信している点が支持されている。
女性向けサイトが発信する情報はファッションに限らず、恋愛や仕事関連などライフスタイルに関するものも多い。利用者のほとんどは女性だが「カップルがデートスポットを探すために一緒に見たり、男性がプレゼントを探したりといった意外な需要もある」(by.S編集長の山崎ひとみさん)という。
キュレーションサイトは上手に使えば便利な情報源になるが、注意が必要な点もある。各社のサイトのなかには、一般の利用者が簡単な手続きだけで記事を投稿できるものもある。専任の編集者がチェックした上で掲載しているものの、情報の質にはばらつきがあると考えたほうがよいだろう。
健康法やダイエットに関する記事では、個人差が大きいことも念頭に置いておきたい。サイトによっては通常の記事と似せた体裁の「ネーティブ広告」が表示される場合もある。それぞれの特徴を見極めた上で、自分の好みやセンスに合ったサイトを探してみてはどうだろう。
(斎藤正弘)
[日本経済新聞夕刊2015年4月2日付]
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