クロスステッチ 子どもの持ち物に彩り

4月からの新学期を目前に控え、慣れない縫い物に悪戦苦闘しているお母さんたちも多いだろう。今はミシンで手軽に刺しゅうができるが、やはり手縫いの刺しゅうには独特の温かみがある。とはいえ、家庭科の授業以来、針を握っていないという人も多いはず。初心者にオススメの刺しゅうを専門家に聞いてみた。

専用布 初心者も気軽に

一定方向に糸を交差させて絵を描く=写真 岡村 享則

「子どもの手提げに刺しゅうを入れたいが、刺しゅうなんて何十年もやっていない」。そうもらすのは都内に住む主婦の吉崎洋子さん(仮名、40代)。娘の小学校への入学に向け、刺しゅう教室に通おうとしたが他の入学準備に忙しく足を運べていない。「書店や手芸店に行っても、種類が多すぎて何から手をつければいいやら」とため息まじりだ。

刺しゅうの技法は実に300超ともいわれる。そんな中で初心者にも簡単に始められると人気なのがクロスステッチだ。

一般に刺しゅうを始めるにあたって最初のハードルとなるのが複雑な図案の書き写しだという。クロスステッチは図案を書き写す必要がなく、専用布のマス目を塗りつぶすように、1マスずつ糸を交差させ縫っていくだけ。ワンポイントから大作まで、難しそうに見える図案も根気さえあれば誰でもできるのがクロスステッチの魅力という。

クロスステッチのデザイナーで「かわいいクロスステッチBOOK」(PHP研究所)著者の大図まことさんに早速、話を聞いてみた。1980年代のテレビゲーム機のキャラクターを思わせる動物や昆虫などのモチーフが若い母親たちに人気だ。

1つの技法で様々な絵柄を作ることができる

まず本などで気に入った図案を見つけたら指定の刺しゅう糸、針、専用布を用意する。布にはカウントといって1インチの長さにマス目が何目あるかが表示してある。同じ図案でもカウント数が異なるとできあがりのサイズが変わってしまうので注意が必要だ。初心者は14カウント程度が扱いやすいという。

さらに、刺しゅう糸はそのまま使わない。通常刺しゅう糸は6本の細い糸を1本によった状態で販売されている。このよりをほどき、指定の本数(通常2本から3本)を引き抜いて使用する。図案の大きさにもよるが、小さいものなら糸の長さは30センチ程度がさばきやすい。

専用布の穴から穴を1マスと数え、図案通りに糸を通していく。一番面積の広い色から始めると仕上がりがきれいになるという。逆に目や鼻など目立たせたい部分は最後に縫うと際立つ。刺しはじめと刺し終わりは玉結びや玉止めをせず、図のように糸で縫いくるんでいく。15×15のマス目のものなら、慣れれば1時間程度で縫うことができるという。

子どもと一緒にお気に入りの図案を見つけて、親子で挑戦するのも楽しい思い出になりそうだ。

オリジナル 表現広がる

小さな図案で練習を重ねた人はオリジナル図案に挑戦してみてもいいだろう。スマートフォン(スマホ)の専用アプリや表計算ソフトでマス目を塗りつぶしていくことで、モザイク状に絵を描くことができる。子どもの好きなキャラクターなど表現の幅も広がる。

さらに、洋服や帽子など既製品に刺しゅうをしたい人には市販の抜きキャンバスがオススメだ。格子状に織られたキャンバスを地の布の刺しゅうしたい場所に縫い付ける。2枚の布を重ねた状態で刺しゅうを施した後、抜きキャンバスから1本ずつ縦糸と横糸を抜いていくと、模様だけが地の生地に残る仕組みだ。

刺しゅうができるようにメッシュ状に穴の開いたスマホ用ケースなども販売されている。普段使うものにオリジナルの工夫をして、新生活の準備に取りかかってみてはいかがだろう。

(松原礼奈)

[日経プラスワン2015年3月28日付]

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