メタボ改善は無茶ダイエットより食材置き換え

生活習慣病のリスクを高めるメタボリック症候群は、肥満が大きな原因だ。肥満を運動や食事で改善するにはどうしたらよいか。専門家は食材を置き換えるなどの工夫が有効だと指摘する。継続可能な食習慣改善のコツを身につけたい。

メタボの状態が続くと心筋梗塞や脳血管障害などの発症リスクが高まる。肥満気味の人は体重を減らすことが大切だ。体重(キログラム)を身長(メートル)の2乗で割った体格指数(BMI)を25未満にするのが目標で、170センチメートルの人なら72.25キログラムを下回るようにする。

体重を落とすには摂取エネルギーを減らし、消費エネルギーを増やす。ただ「言うは易く、行うは難し」で、食事の制限や運動を試みたが失敗したという人は多いはずだ。極端なダイエットも体を壊す原因にもなる。「間食や外食、夜食が多い人、早食いの人などがメタボになりやすい」と独立行政法人国立病院機構京都医療センター臨床代謝栄養研究室長の浅原哲子医師は説明する。摂取エネルギーが多くなりやすいからだ。

■ご飯にしらたき

浅原室長らが勧めるのは食材を工夫した献立だ。1日3食の摂取量を1400キロ~1500キロカロリーに抑えている。1食分なら約500キロカロリーで、食塩も約3グラムと少ない。必要な栄養素もバランスよく取れる。「女性なら十分で、男性もバナナ1本程度の間食を加えれば満足できる」(浅原室長)

低カロリーでも満腹感を得るのにはいくつかのポイントがある。まず、カロリーの低い食材を選ぶ。肉より魚介類がお勧めだ。海藻や山菜なども優れた食材だ。次に、歯応えを残す調理法だ。かむのに時間がかかり、少量でも満腹感につながりやすい。大きめに切るほか、加熱しすぎないようにするとよい。

脂身や油の量もなるべく減らす。肉はバラやロースよりヒレやももを選ぶと脂肪が少なくカロリーを抑えられる。脂身を切り落としてもよい。油をあまり敷かなくても焦げにくいフライパンを使うのも手だ。また、1食分のごはんの量は0.5合を基本にし、炊く際に低カロリーのしらたきを加えるとかさが増える。

「豚野菜丼」はこうした工夫を取り入れた献立だ。豚肉やキノコを載せた丼にイカの野菜サラダ、鶏肉やニンジンの筑前煮の3点で、1人分が500キロカロリー台に納まる。豚肉は脂身を落とし一口大にし、ごはんにしらたきを加える。

糖尿病患者では、丼に使うレンコンをタマネギやパプリカに変える。高脂血症患者は豚肉を鶏のささみに変える。イカの代わりにマグロやアジを使えば、コレステロールが減る。食材の変更でカロリーなどが減らせるという。

■揚げずに焼く

肥満の人は揚げ物など高カロリーの食べ物を好む傾向が強いが、これも工夫次第でカロリーをある程度低くできる。たとえば、揚げないとんかつ。豚肉の脂身は切り捨て、パン粉をまぶして焼く。揚げ物のようなさくっとした食感を保てる。鶏の空揚げも皮が無い鶏肉を使う。油で揚げず、ころもの代わりに細かいあられをまぶして焼くとよい。

肉や魚、卵などのたんぱく源は手のひらサイズを1品とるのがコツ。薄切りの肉なら3~4枚が適量だ。魚の切り身なら1切れ、脂肪が多い青魚は指先に載る程度がよい。

忙しい朝も「目玉焼きと野菜ソテー定食」にすれば手間をかけずに栄養を取れる。目玉焼きと野菜のソテーにごはん、野菜を多く入れた味噌汁、バナナヨーグルトが付く。ごはんでカロリーを調節する。

食べ方も重要だ。ゆっくりと時間をかけるほか、夜遅く食事を取るのは控えアルコールはほどほどにする。武庫川女子大学の森真理講師は「ごはんより野菜などを先にゆっくり食べると血糖値の急上昇を防げる」と話す。血糖値の上昇を緩やかにすれば下がるのにも時間がかかり、満腹感が持続し食べ過ぎを防げる。

間食は避けたいが、我慢できないときは1日80キロカロリーを上限にする。果物がお勧めでミカンなら2個、バナナなら1本、リンゴやナシなら半分だ。アイスクリームは豆腐などを使う低カロリー製品を選ぶ。

カロリー管理に運動を組み合わせると効果が高まる。京都医療センターの肥満・メタボリックシンドローム外来を訪れた滋賀県の40代女性は、身長158センチメートルでピーク時の体重は80キログラムを超えていた。

浅原室長と相談しながら、高カロリーな中華料理や菓子パンから和食に切り替えるとともに、1日1万歩を目標に歩いた。さらに週3回、2時間ずつヨガや自転車の運動を続けたら、8カ月で66.1キログラムまで減った。女性は「もう少し減らしたい」と継続中だ。

ここまで運動するのは難しいかもしれないが、生活の中で軽く体を動かすだけでも、効果は得られる。一歩ずつ着実に進めたい。

(草塩拓郎)

〈ひとくちガイド〉
《本》
◆食材を置き換えた献立を紹介する
「京都医療センターメタボ外来の3か月で確実!やせるレシピ」(独立行政法人国立病院機構京都医療センター著、セブン&アイ出版)
◆日ごろよく食べる料理や食品のカロリーを知りたいなら
「毎日の食事のカロリーガイド改訂版」(香川芳子監修、女子栄養大学出版部)

[日本経済新聞朝刊2015年3月22日付]

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