説得力アップ プレゼンの王道 相手を調べ尽くすスライドは簡素に 話す時は目を見て

社内で新事業を提案したり、取引先と商談を進めたりする際などに欠かせないのがプレゼンテーション。準備に手間と時間を掛けた割に成果が芳しくなかったという人もいるだろう。プレゼン上手になるために知っておきたいポイントをまとめた。

「満足のいくプレゼンは全体の2~3割程度」。こう話すのはドイツポストDHL傘下で企業物流を手掛けるDHLグローバルフォワーディングジャパン(東京・墨田)社長のマーク・スレードさん。社内の会議などで年に100件以上のプレゼンを聞く機会があるが、内容が分かりやすく説得力もあると感じるものは少ないという。

ビジネスの場でプレゼンの重要度は高い。相手がこちらの考えに共感し、行動に移してくれれば取引先から契約を取れたり、社内で提案が通ったりする。スレードさんは「日本人、外国人を問わず良いプレゼンには共通点があり、コツをつかめば上達する」と話す。ではどんな点に気を付ければいいのだろうか。

まず重要なのは相手を知ること。ビジネスで相手がどんな状況で、こちらに何を期待しているか。現在の肩書だけでなく、これまでに在籍した部署や担当した仕事といった経歴も分かれば、プレゼンで強調するポイントが見えてきやすい。

■質問の答えを準備

相手の状況を踏まえてプレゼンのテーマについてよく調べよう。客観的な事実や背景、データなどをリサーチする。自分の考えとは反対の見方や根拠、データも集めておけば、当日に急に質問されたり反論されたりしても慌てずに対応できそうだ。

調査のあとは内容と構成を考える。伝えたいことを決め「結論、根拠、具体例、要約」の順に展開するのが基本だ。最初に結論を示してから根拠を説明すると頭に入りやすい。具体例を加えれば内容を身近に感じられる効果が期待できる。最後に伝えたいことを繰り返すと相手の印象に残る。

「冒頭は特に工夫を凝らしたい」と話すのはビジネススキルセミナーなどを手掛けるアンド・クリエイト(東京・目黒)代表の清水久三子さん。冒頭は聞き手の集中力が高く、興味を持たせればプレゼンに引き込めるためだ。例えば質問を投げかける問題提起。相手は答えを知りたくなり、話の続きに関心が高まる。「世界中で5秒に1人が○○をしています」など相手が驚くような事実を示すのもお勧めだ。

プレゼンでスライドを準備する人は多いだろう。スライドで心がけたいのが文章や図表をできるだけ簡潔にすること。質問や反論に備えて盛りだくさんになりがちだ。文章が多いと話し手は一言一句読み上げたくなり、聞き手も何がポイントなのか分かりにくくなる。用意するスライドの枚数も少ない方がいい。「発表時間2分につき1枚が大まかな目安」とスレードさんは助言する。

いざプレゼンに臨むときは話し方も重要だ。話し始めに「あのー」や「えー」など意味のない単語を言う癖があれば直したい。何度も繰り返されると気になって、内容の理解を妨げかねないからだ。語尾を伸ばしたり言い切らなかったりすると、自信がなく稚拙な印象を与えやすい。

■はっきり言い切る

説得力を高めるには、聞き手とのアイコンタクトも欠かせない要素になる

聞き手の関心を引く技術も知っておこう。例えば間の使い方。キーワードを言う前に2~3秒、言った後に1秒程度、間をとると強く印象に残る。抑揚を付けるのも有効。興味を引きたい箇所では声のトーンを高くしたり、低くしたりする。大事な部分はゆっくり話す。「自分で大げさだと感じるくらいが聞き手にとってはちょうど良い」(清水さん)

アイコンタクトも見逃せない。相手の目を見ると聞き手は話しかけられていると実感できる。時間は1人につき数秒から5秒程度が目安。プレゼンを始めるときと終わるときに参加者全体を見回す。説明中は会場の中央、右、左と見ていく。会場が広いときは視線でMの字や8の字を描くようにするといい。

プレゼンが終わったら「同席した同僚や上司に感想を聞く習慣を身につけたい」と企業の研修などを手掛ける日本能率協会(東京・港)の中島克紀さんは話す。「ところどころ早口になっていて聞き取りにくかった」などの改善点が見つかれば、次回以降に生かせるだろう。

[日本経済新聞夕刊2015年3月16日付]