「後継者」という生き方 牟田太陽著育成・風通し…経営を説く

2015/3/5

「後継者」の喜びと悩みを通して、企業経営の神髄を記した本である。後継者をどうするかは、中小企業経営にとっていつも「問題」だが、著者はバトンタッチがうまくいかない最大の理由として「コミュニケーション」の不足をあげる。

 良い会社は、著者が語るように「風通しがよい」。「聞いていない」というのは最大の拒絶だが、それゆえ情報の共有は欠かせない。

 会社に「発展計画」があって、それを社員が共有することの大切さが指摘されている。たしかに日々の仕事が、将来にどうつながるのかを理解することは重要だ。その「計画」をつくるのが社長の仕事だ。

 中小企業の悩みは「採用」の難しさだ。よい新卒が応募してくれないことが、「中小」という「規模」を原因とする最大の「問題」だ。それゆえ社員をどう育てるかが問われる。自分より年上の、先代の社長の子飼いの社員のこと。「片腕」の必要性。社員は社長の代行業であること……。後継の際の先代社長の「花道づくり」の大切さなど、詳しくは本書を読んでほしい。

 中小企業経営者にとって「なるほど」と頷(うなず)ける本だ。

★★★★

(福山大学教授 中沢孝夫)

[日本経済新聞夕刊2015年3月4日付]

★★★★★ これを読まなくては損をする
★★★★☆ 読みごたえたっぷり、お薦め
★★★☆☆ 読みごたえあり
★★☆☆☆ 価格の価値はあり
★☆☆☆☆ 話題作だが、ピンとこなかった

「後継者」という生き方

著者:牟田 太陽
出版:プレジデント社
価格:1,836円(税込み)

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