サッカー界の巨大な闇 ブレット・フォレスト著八百長と違法賭博を追う

2015/2/27
(作品社・1800円 ※書籍の価格は税抜きで表記しています)

手口はこうだ。「人目につかない場所で貧しいサッカー連盟に無意味な国際親善試合をさせる」

 うごめくのは、経済的に報われぬ二流の選手、厚顔の審判員、観客席でひっきりなしに携帯電話を駆使する謎の男たち。

 本書に描かれる八百長とは、下部降格の危機にあえぐ相手に手心を加える人情とは無縁だ。ただ違法賭博のための仕掛けである。

 インド系シンガポール人のフィクサーはうそぶく。「八百長は誰も傷つけない」。不正を追いかける豪州人の元警察官の動機は「ならず者をやっつける」。どちらもサッカーそのものが好きなわけではない。だから前者の露骨(金銭追求)と後者の愚直(職業的使命)はダイレクトにぶつかり奇妙な親和性を帯びる。

 米国人ジャーナリストの取材は不正の細部を明らかにする。「無一文の関係者」を抱き込んで、総得点数など勝敗だけでない賭けを操る。国内戦なら辺境の地や下部リーグこそ狙い目だ。他競技の「操作」も調べた人物が言う。最悪は「バドミントン」。網は張り巡らされ闇は深い。

 おもしろくてためになる。日本代表監督解任をめぐり時宜を得た一冊。堤理華訳。

★★★★

(スポーツライター 藤島大)

[日本経済新聞夕刊2015年2月25日付]

★★★★★ これを読まなくては損をする
★★★★☆ 読みごたえたっぷり、お薦め
★★★☆☆ 読みごたえあり
★★☆☆☆ 価格の価値はあり
★☆☆☆☆ 話題作だが、ピンとこなかった

サッカー界の巨大な闇 八百長試合と違法賭博市場

著者:ブレット・フォレスト
出版:作品社
価格:1,944円(税込み)