働き方・学び方

イチからわかる

学童保育の仕組み、4月から変わる?

2015/2/24 日本経済新聞 プラスワン

イチ子お姉さん 学童保育(がくどうほいく)って知ってる?親が共働きなどで昼間は家にいない小学生が放課後に通う場所なんだけど、4月から仕組みが変わるのよ。
からすけ 学校の教室や近くの児童館にあって、僕(ぼく)が小学生の時には通っていた友達もいたよ。使いたいおうちが増えているのかな。

■国や市 運営基準はっきりと

イチ子 学童保育は「放課後児童クラブ」とも呼ばれていて、放課後や夏休みなどに小学生を預かる取り組みなの。大人のスタッフがいて面倒(めんどう)をみてくれて、小学生は宿題をしたり、仲間と遊んだり、おやつを食べたりして過ごすことができる場所よ。

からすけ 何だか楽しそう。僕は行ったことなかったけど。

イチ子 夜8時とか遅くまで開いていて、夕食を出してくれるところもあるわ。市町村が直接運営している学童もあるけれど、父母会や民間の会社などが任されている場合もあるわね。保育料は月額5千~1万円程度のところが多いみたい。

からすけ 保育所とは違うんだよね。小さいときは保育所に通っていた友達が、小学校に入ったら学童に変わったと言っていたな。

イチ子 子どもが小学校に入ると、もう保育所が預かるわけにはいかないわ。でも親にしてみれば、小学生になったばかりの子どもに1人で留守番(るすばん)させるのは心配だわ。お友達は学童保育に通えたからよかったけど、預け先がなくて親が仕事を続けられなくなる小1の壁(かべ)(キーワード)と呼ばれる問題があるの。

からすけ 希望しても入れない人がいるの?

イチ子 保育所のように学童保育にも待機児童(たいきじどう)(キーワード)がいるのよ。一時期は減る傾向にあったけれど、共働きなどが増えたので学童への注目度が高まって、待機児童はここ数年増えているの。国の調査では2017年度には8万3千人分不足するというのよ。潜在的(せんざいてき)には40万人以上の待機児童がいるという推測もあるわ。

からすけ いろいろと対策を考えないといけない状態なんだね。4月からは学童の何が変わるの?

イチ子 これまでは学童をつくり、運営する基準が明確になっていなかったの。4月からは国や市区町村が基準をつくって、責任を持って取り組む形になるわ。スタッフの数や場所の広さ、1クラス当たりの受け入れ人数、開いている時間や日数などの最低ラインが決められたのよ。

からすけ しっかりした基準がないと、親も子どもも不安になるよね。

<キーワード>
小1の壁 子どもが小学生になるときに学童保育などの預け先が見つからず、親が仕事を続けにくくなること。
待機児童 厚生労働省によると、2014年5月時点で学童保育を利用できなかった児童が約1万人に上った。

■高学年も利用対象に

イチ子 それから、通える学年が広がるわ。これまではおおむね10歳未満、小学3年生までの子どもを中心に預かると決められていたの。法律が変わって、4月からは小学生全体が対象になるの。高学年の子ももっと使いやすくなりそうね。もちろん低学年児童のニーズが高まっているから、どこまで受け入れられるかはわからないけど。

からすけ 保育所みたいに足りないなら、数をもっと増やさないとね。

イチ子 国は19年度末までに新たに約30万人分増やす目標を掲(かか)げたわ。さらに、学校や校庭を開放して地域の大人との交流や学び、スポーツ、文化活動などの体験ができる「放課後子ども教室」との一体運営を進めることにしているの。

からすけ 放課後子ども教室? 学童と一体?

イチ子 放課後子ども教室は、平日の夕方とか土曜日に開いているところが多いわ。最近は夕方までは放課後子ども教室でスポーツや文化活動をして、それ以降は同じ学校内にある学童で過ごすといった形で、2つの取り組みを一体化する例も出ているわ。こうした居場所づくりを1万カ所以上で始めることにしているのよ。

からすけ 小学生が安心して楽しく過ごせるようになるといいよね。

イチ子 確かにそう。一方で学習塾(がくしゅうじゅく)や習い事教室を運営する会社が学童保育のようなサービスを採り入れて小学生を預かるという例も都市部を中心に増えてきているわ。また学童保育に民家やアパートを活用する場合、国が家賃補助する計画もあるの。いずれにしても小学生の第2の家をどう変えていくか、これからが大切なところね。

■江戸時代 社会が支援

灘中学校・高等学校の藪本勝治先生の話
共働き家庭の増加や核家族化(かくかぞくか)の進行により学童保育の需要(じゅよう)が高まっています。子どもの面倒は本来、両親が見るものだという見方もあるでしょう。しかし、子どもの死亡率が高く一人前に育てるのが大変だった前近代には、一人の子どもに何人もの大人が義理(ぎり)の親子関係を結びました。江戸時代に寺子屋などで使われた教材を研究する小泉吉永(こいずみよしなが)氏はこれを「仮親(かりおや)」と呼んでいます。
子どもが4~5歳になるまでは、子守役(こもりやく)の少女たちが「守親(もりおや)」として活躍しました。6、7歳になると、寺子屋では師匠(ししょう)に学び、放課後は地域の人々に見守られて遊び回り、問題が起これば周囲の「仮親」たちが仲介して解決しました。このように、両親の力だけでなく社会の支援があってこそ子育ての安心が確保できるのは、今も昔も変わらないようです。
今週のニュースなテストの答え 問1=ウクライナ、問2=(1)サントリー(2)キリン

[日経プラスワン2015年2月21日付]

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