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目標・時間・自己を管理 資格や語学 忙しい社会人の学習術 達成、具体的にイメージ 完璧求めず、効率優先

2015/2/12 日本経済新聞 夕刊

年が明けて約1カ月。キャリアアップのため「今年こそは」と簿記など資格取得や外国語の勉強を始めたものの、すでに挫折しかけている人もいるかもしれない。忙しい会社員が勉強時間をどう確保し、モチベーションを維持するか。目標達成のためのポイントをまとめた。

「4万円で買った英語の教材は2週間、インテリアコーディネーターの勉強は1カ月弱で頓挫した。独学での勉強は諦めかけている」。こう話すのは小売業勤務の村田智さん(仮名)。目標を決めた時は気持ちが高揚していても、数週間でやる気が萎えて中断してしまうという。

通信教育を手掛けるユーキャン(東京・新宿)の講座企画1部部長、初野正幸さんは「いつか役立つだろうといった曖昧な動機だと長続きしにくい」と話す。キャリアアップの目標は例えば2年以内に海外駐在をする、宅建の資格を取って転職するなど具体的に決めることが大切だ。

「本気で変わりたい人の行動イノベーション」(秀和システム)の著者で、人材育成などのコンサルティング会社、アンカリング・イノベーション(東京・板橋)の代表取締役、大平信孝さんは「目標を達成した自分を思い浮かべ、思わず顔がほころんで心が躍るかどうかをチェックしよう」と助言する。

■周囲に決意宣言

具体的な目標がイメージできたら、2つの期限を決める。第1は自己啓発を始める時期。「仕事が一段落したら始めよう」といった曖昧な決め方ではなく「今週末までに絶対に始める」と具体的な日時を設定する。もう1つはゴールの時期。上司や同僚に「今年中にこの資格を取ります!」と宣言し、後にひけない状態を作るのも手だ。

ただ熱意が強すぎると、計画通りに進まなかったときに失望し、勉強を途中で投げ出しかねない。仕事が忙しくなって予定より遅れたり、中断したりした場合などの計画も立てておくといい。少々の挫折も「予定通り」であれば、気持ちを立て直しやすい。

目標と計画を決めたら、次は実行の段階。どんな点に注意して勉強を進めたらいいのだろうか。「学生時代と社会人の勉強法は別物と考えよう」と初野さんは力を込める。社会人は学生に比べ勉強に割ける時間が少ないため、効率よく学ぶことを意識する。

短時間でも勉強を続けることが大切

資格取得が目的なら満点を取る必要はない。公務員や保育士試験向けの講座を開くクイック教育システムズ(東京・千代田)の代表取締役、中村一樹さんは「資格試験の合格ラインは6~7割程度が多い。どうしても苦手な項目は捨て、合格点を目指せばいい」と話す。過去の試験問題をみて出題傾向を頭に入れ、問題集は傾向に沿った問題だけを解くのが一案だ。

時間の確保も工夫したい。まずは「すきま時間」の活用。多忙な会社員でも通勤電車の中や外回りで次のアポイントまでの合間などちょっとした時間は意外に見つけやすい。「一問一答式のテキストを持ち歩いたり、苦手な部分を読み上げてスマホなどに録音して聞いたりするのもお勧め」と中村さんは助言する。

勉強は気が進まないときもあるが好きなことと組み合わせるといい。紅茶が好きでカフェによく行くなら、そこで勉強すればある程度「まとまった時間」も充てられる。

■自分を褒める

やる気を保ち続けるには小さな成功を積み重ねることが大切。「毎日2ページテキストを読んで、問題集を解く」では息切れする可能性がある。「夜9時にテキストを開く」「テキストを半ページ読む」「問題を1問解く」などとやることを細かく分け、1つできればよしとする。

できたことに目を向け、自分を褒める癖をつければモチベーションを維持しやすい。「3週間続ければ習慣化し、1日でもやらないと違和感を感じる。そうなれば勉強が軌道に乗った証拠」と大平さん。

アメとムチの使い分けも効果的だ。中村さんのお勧めは「罰金を科す」こと。決めたことを実行できなかった日は五百円硬貨を1枚、貯金箱に入れる。毎月の小遣い額が決まっている人なら頑張るきっかけになるし、目標を達成したらたまったお金を自分のために使う楽しみもできる。

勉強を継続するには目標、時間、自己の3つを上手に管理することが必要。決めた目標を達成して仕事に役立てよう。

(ライター 加納 美紀)

[日本経済新聞夕刊2015年2月9日付]

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