働き方・学び方

イチからわかる

ロボットと暮らす日がやってくる?

2015/2/10 日本経済新聞 プラスワン

イチ子お姉さん ロボットと生活する日は近いかもしれないわ。ロボットをもっと活用するために法律を改正したり実験をしたりすることになったの。
からすけ ロボットと暮らすなんて楽しそうだね。一緒に遊んだり、宿題をやってもらったりして。でもそんな社会が本当にやってくるの?

■福祉・宅配…日常をサポート

 イチ子 ロボットという言葉から、どんなイメージを抱く?

 からすけ 映画によく出てくるよね。人間と仲良くしたり、時には敵対したり……。

 イチ子 ロボットは人間の代わりに作業をしてくれる装置や機械を指すの。でも普通の機械と違って、人間の知能にあたる情報をプログラムしておけば、ある程度は自律的な動作ができるの。1960年代のアメリカで工場で物を置く、つかむという動作をする産業用ロボットが実用化され日本にも入ってきたわ。

 からすけ なーんだ。もう工場では当たり前なんだね。

 イチ子 大量生産する大型の機械と違って、多くの品種を少しずつ生産できるので、日本では80年代から本格的に広がったわ。日本はロボット大国といわれていて、産業用ロボットの分野では出荷額や稼働(かどう)台数では世界1位よ。

 からすけ 日本のロボットはどんな特徴(とくちょう)があるの?

 イチ子 例えば2足歩行するロボット開発に強いことね。ホンダの「ASIMO」は片足でジャンプできるのよ。ロボットが倒れないようにする高度な制御(せいぎょ)技術が必要なの。人間が装着するパワーアシストスーツも日本が強い分野の一つよ。運動に支障のある人の新しい治療(ちりょう)法に活用されて効果を上げ始めているわ。

 からすけ ふーん。ほかにはどんな分野で活用を期待されているの?

 イチ子 産業用ロボットに対してサービスロボット(キーワード)と呼ばれるものね。医療や福祉のほか、災害現場、運輸などで使われ始めたわ。東日本大震災後の東京電力福島第1原発でも、ロボットが事故現場の写真を撮(と)ったり、放射線量を測ったりしているの。

 からすけ そのロボット、ニュースで見たよ。

 イチ子 アメリカでは去年から、自動運転の無人飛行機が荷物を宅配する実験も始まった。人とコミュニケーションをとれる癒(い)やし系ロボットは、心の病を抱える人や高齢者の癒やしとして広まりつつあるの。人間そっくりのロボットを作る研究者もいるわ。ロボットは私たちの日常生活をサポートする役割を期待されているのよ。

<キーワード>
 サービスロボット 工場などで使われる産業用ロボットと区別し、サービスなど幅広い用途で使われるロボットを指す。
 ロボット新戦略 ロボットの普及には規制の改革やルール作りなどが不可欠と提言。2020年にロボット五輪を提案した。

 からすけ ところで、なんでロボットを開発するんだろう?

 イチ子 ロボットは気持ちに左右されることも疲(つか)れることもないから、正確に同じ作業を続けることができる。災害現場など人が入るには危険な場所でも、素材を工夫すれば平気で働くことができる。さらに日本のように高齢化(こうれいか)が進んで働ける人が減っていく国では労働力を補ってくれると期待されているの。

 からすけ 日本以外の国ではどんなロボットを開発しているの?

 イチ子 アメリカやヨーロッパでも人工知能、音声や画像の認識の分野を強化したり、家庭用ロボットの実用化を急いだりしているから、競争は激しくなっているの。政府は1月にロボット新戦略(キーワード)をまとめ、国内での普及(ふきゅう)や輸出拡大を実現するための道筋を示したわ。

■普及にはルール作り必要

 からすけ ロボットを社会に広めていくのに何か壁(かべ)があるの?

 イチ子 ロボットが私たちの生活に入ってくるとなると、決めないといけない約束事があるの。自動運転をする場合に使う電波はどの周波数を割り当てるのか、もし暴走して人を傷つけた時はどうするのか。今ある法律の枠内では収まらないことも多いのよ。

 からすけ 宿題をやってくれるロボットはいつごろ開発されるかな?

 イチ子 嫌なことを押しつけようというんじゃだめ。ロボットに何かを代わってもらうんじゃなくて、難しい課題を解決してもらったり、より高い付加価値を生み出してもらったりすることを考えないと。そのためにもきちんとしたルールを作り、将来にわたってロボットとうまく共存できる社会を作らないとね。

■からくり人形、表情豊か

千代田区立九段中等教育学校の荒川美奈子先生の話
 日本が得意とする2足歩行ロボットの原点はからくり人形にあるともいわれます。江戸時代の終わりから明治にかけて、からくり人形や和時計など様々な機械を発明した「からくり儀右衛門(ぎえもん)」こと田中久重(たなかひさしげ)という人がいます。久重の代表作「弓曳(ゆみひ)き童子(どうじ)」は、人形が矢台に置かれた矢を手に取り、弓をつがえて曳き、矢を射る動作を自動で繰り返します。
 この人形の魅力は、能面(のうめん)のように角度を変えることで独特な表情をつくる頭部の動きにあります。的にねらいを定めるときは首をしっかり上げて真剣な表情ですが、矢が的に当たると顎(あご)を斜めに下げて、口角を上げた得意そうな笑顔があらわれます。機械と分かっていても、ロボットの動きの中にほのかに浮かぶ感情に、今でも私たちは魅了(みりょう)されているのかもしれません。
今週のニュースなテストの答え 問1=(1)パナソニック(2)東芝、問2=住宅ローン

[日経プラスワン2015年2月7日付]

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