確定申告、アプリで手軽に 還付額算出・経費記録…
昨年に長女を授かった東京都台東区の会社員、金子光さん(35、仮名)は今年初めて確定申告することになった。対象となったのは出産にかかった費用だ。その際の交通費なども医療費として認定されるため、一部還付されるのではないかと思い、金子さんは確定申告することにしたという。
医療控除の対象列挙
国税庁のホームページで申告書類を確認したものの、どう記入していいか分からず途方に暮れていた。そこで活用したのがスマホアプリの「税得2014」だ。税理士事務所が提供するこのアプリは、医療費控除の具体的な事例を約250件挙げ、対象となるものとならないものを分かりやすく表示している。
「税得」で確認したところ、出産については、定期健診や検査の費用は対象になるが、購入したマタニティ衣料は対象にならないことが分かった。金子さんは「何が対象かもよく分からなかったので、とても助かった」と話す。
対象が分かれば医療費控除の計算コーナーに進む。源泉徴収票にある自分の総所得金額と実際に支払った医療費を、指示に従って簡単な操作で入力すれば、どれだけ節税できるか一目で分かる。
金子さんの場合、約3万円が戻ってくると分かった。「(税務署までの)交通費の方が高いくらいなら申告するのをやめようかと思っていたが、意外に戻ってくるようだ」とうれしそう。「アプリで算出した金額を基に申告書を作成して、早めに済ませるつもり」と話した。
「税得」では、医療費と株式などの配当の控除は無料で算出できる。多くの人が気になるだろう住宅ローンと、最近ブームになっているふるさと納税の算出は、有料となる。ふるさと納税については最も得をする納税額を算出することが可能。最も得になる金額の範囲で複数の自治体に寄付をすれば、お礼として送られてくるふるさと産品も多く獲得できる。
経費をこまめに記録
会計システムのミロク情報サービスが提供するアプリ「確定申告支援byマネトラ」は、仕事で使った交通費など日々の経費を記録できる。こまめに記録することで申告間際になって慌てて領収書を探す手間が省けそうだ。スマホのカメラを使って領収書を読み取ることもできるため、入力間違いも防ぐことができる。
一方、入力したデータは同社の会計ソフトに取り込める。わざわざ打ち直す手間が省けるため、申告書類の作成もスムーズに進みそうだ。
医療費に関わる記録を管理できるのが「通院ノート」アプリ。家族の分もまとめて記録できるのが特徴だ。医療費だけでなく交通費や領収書の写真も保存しておけるうえ、記録したデータはパソコンに送信して編集することも可能。確定申告への備えだけでなく、次の診療日の予定を入れたり、病気への対処法を閲覧したりする機能も盛り込まれている。
確定申告といえば、毎年混み合う税務署の風景でおなじみだ。窓口で必要書類は作成できるが、問い合わせしながらだと時間が大幅にかかってしまう。アプリを参考に、事前に書類を作成してスムーズに手続きを済ませよう。
(電子整理部 三宅一成)
[日本経済新聞夕刊2015年2月5日付]
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