電車内・信号待ち…英語学習、アプリで空き時間に
「机に向かわずに、休憩中やテレビのCMの最中に気軽に利用できるので、勉強を続けやすい」。東京都の大谷真史さん(24)が使っているのは、英語アプリを手掛けるベンチャーのmikan(ミカン、東京・渋谷、宇佐美峻社長)が昨年10月に配信を始めたアプリ「mikan」だ。
お手本の発音とともに画面に表示された単語を知っていれば右に、知らなければ左にスライドして仕分けする。単語は2周目以降は左にスライドした単語だけが表示され、すべての単語を覚えるまで続ける。全て覚えたら、次は4択問題の単語テストで、記憶の定着をはかる。
「集中して効率良く」
愛知県在住の桜井駿さん(25)は「知らない単語を何度も集中して学習できて効率がよい」と気に入っている。
開発した宇佐美社長は「アプリで英語を学習する『1セット』の時間にこだわった」と語る。英語学習アプリに限らず、スマホのアプリを利用するのは、ふとした空き時間が多い。mikanは10単語1セットの内容を約1分に収めた。「電車で1駅移動する間など、ふとした時間を活用して勉強できるようにこだわった」と、利用シーンを想定してアプリを開発した。
表示された単語を知っているかどうか選ぶ時間は1単語あたり3~5秒とかなり切迫感がある。「とにかく立ち止まらずに、先に先に学習を進めた方がいい」という考え方から、時間は短めに設定されている。
利用者のやる気をそがないように、アプリの表示画面も工夫した。単語テストの後に表示される評価は点数に応じて「天才」「秀才」「多才」などすべて利用者を褒める内容。宇佐美社長自身が「おこられるのが好きじゃないので」と、褒めて伸ばそうというのがこのアプリのコンセプトだ。
ReDucate(東京・品川、石井学社長)が提供する「えいぽんたん!」は、キャラクターを育てながら英語を学習するのが特徴だ。「えいぽんたん学園」を舞台に、利用者は生徒役のキャラクターを育成する。英語の問題を解いて手に入れたあめやアイスなどをキャラクターに与えると成長していく仕組みだ。キャラの育成を動機づけにして、やる気を高めてもらう狙いだ。
レベルに合わせ柔軟に
問題は語学教材を手掛ける出版社、アルクの書籍から出題する。アプリの初回起動時に単語チェックの問題を解いて、レベルを設定する。その後も学習のたびに正答率に応じてレベルを上下させる。レベルによって出題内容を柔軟に変え、無理なく学べるようにした。
会員制転職サイトを運営するビズリーチ(東京・渋谷、南壮一郎社長)の暗記帳アプリ「zuknow(ズノウ)」は学習意欲を高めるために、友達と正答率を競えるようにした。交流サイト(SNS)のフェイスブックや単文投稿サイトのツイッターと同期し、毎週友達の正答率ランキングを閲覧することもできる。
暗記帳は誰でも自由に作成でき、個人が作成したカードで1万人に利用されている例もあるという。暗記帳を複数人で共有できるため、中高の定期テストの試験勉強に活用する例もあり、クラス単位で利用しているところもある。
企業のグローバル化が進み、いつ英語能力が問われるかわからなくなっている。備えあれば憂いなし。思いついたその時から、英語学習アプリで準備を始めておくのも悪くない。
(企業報道部 川上宗馬)
[日本経済新聞夕刊2015年1月8日付]
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