ライフコラム

エコノ探偵団

経済統計、信用できる?

2014/12/17 日本経済新聞 朝刊

「エコノミストの景気予測がことごとく外れたそうですが、そもそも経済指標ってどの程度信頼できるんですかね」。近所に住む大学生の疑問に、探偵の深津明日香が「あまり考えたことなかったけど、調べてみましょう」と調査を始めた。

■最後は人が推計、大きな誤差も

明日香はまず、ニッセイ基礎研究所経済調査部長の斎藤太郎さん(47)を訪ねた。「今月8日に発表された7~9月期の国内総生産(GDP)改定値には驚きました」

4月の消費税増税による駆け込み需要の反動減で4~6月期の実質経済成長率はマイナスになったが、7~9月期はプラスに転じるというのが11月半ばまでほとんどのエコノミストの見方だった。

ところが、11月17日に発表された1次速報値は前期比年率1.6%のマイナス。その後発表された法人企業統計では設備投資の回復が確認されたことなどから「12月8日発表の改定値(2次速報値)は上方修正されると予想していた」のは斎藤さんだけではなかった。ところが再び予想に反して下方修正され、同1.9%のマイナスだった。

GDP統計を作成している内閣府の担当者に話を聞くと「設備投資の金額などを調べる範囲が、GDPと法人企業統計では異なることなどが影響していると考えられます」と説明した。法人企業統計の調査対象は大企業が中心で、零細企業や個人事業主は対象外だ。コンピューターのソフトウエアも設備投資としては集計していない。

第一生命経済研究所の首席エコノミスト、熊野英生さん(47)にも問い合わせてみた。熊野さんは「またエコノミストが予想を外した、という批判もありますが、その裏には『政府が発表するGDP統計は正しい』という信奉があると思います。でも、GDP統計は完全無欠だといえるのか、一度考えてみる必要もあるかもしれません」という。

GDPは国全体の経済規模を測る指標だが、ありとあらゆる経済活動をすべて調べて金額に換算することは不可能なため「入手可能な各種の経済統計を基に、内閣府の担当者が『推計』するしかないのです」と熊野さん。8日は2013年度のGDP「確報値」も公表されたが、これも実は「推計値」にすぎない。しかも、その推計方法はすべて公表されているわけではなくブラックボックスだ。

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