フード・レストラン

おでかけナビ

「大根の王様」は神奈川・三浦半島に 甘みも食感も変幻自在

2014/12/17 日本経済新聞 夕刊

正月料理に欠かせない大根の酢の物なます。関東では神奈川県三浦半島産の「三浦大根」が味の良さで昔から人気が高く、年末の3日間は農家総出で収穫、出荷作業にいそしむ。甘みと辛み、苦みのバランスが絶妙で、みずみずしいのに煮崩れせず食感が良いので、おでんなど総菜や肉と合わせた洋食に使う小料理店やレストランが多い。ファンをひきつける三浦大根の魅力を追った。

◇            ◇

三崎食堂の「三浦大根三昧」。大根とマグロでつくったなます(右下)が特においしい

三浦半島南部、三崎漁港の市場食堂に12月1日、三浦大根を使った新メニューが登場した。目玉の「三浦大根三昧」は大根葉のおひたしをあぶりマグロと大根の酢の物で巻いたなます、酢味噌を合わせた水炊き大根、葉の茎の浅漬けの3点盛りだ。

三崎漁港はマグロやブリなどで全国上位の漁獲量を誇る。三崎食堂は新鮮な魚介が売りものだが、井上靖彦社長(49)は「三浦半島は野菜の宝庫。なかでも三浦大根は肉質が上質のシルクのようにきめ細かく、料理次第で甘みも苦みもひきだせる」とほれ込み、新メニュー開発にこぎ着けた。

三浦半島は全国有数の野菜の産地。特に三崎漁港のある三浦市は耕地面積が市域の3分の1を占め、農家の6割が専業だ。全国でも珍しい農業都市で、原康明・神奈川県農業技術センター三浦半島地区事務所研究課長(53)は「農地が売りに出されると、すぐ買い手がつく」と語る。

なかでも大根の生産量は市町村別ランキングで常に全国トップクラス。大半は収量がよく形がずんどうで畑から抜きやすい青首大根だ。根の中央がふくれている「中ぶくら」の三浦大根は抜きにくく、切って売りにくいことから敬遠され、作付面積は耕地面積のわずか1%、6ヘクタールにすぎないが、根強い人気がある。

三浦市の農家、吉田和子(ともこ)さん(72)はベーコンを巻いた厚切りの大根をバターで焼いた大根ステーキなどで「三浦ダイコンフルコース」料理をつくり、農林水産省など主催の「食アメニティコンテスト」で入賞した。「三浦大根は大根の王様。味の良さを知ってもらうためにいろいろな料理を提案したい」と各地で料理教室を開く。

薄切りの大根に片栗粉をまぶして熱湯に通すと「プルンプルンの葛切りのような食感になり、とてもおいしい」とよだれが出そうなレシピを紹介してくれる。

フード・レストラン 新着記事

ALL CHANNEL