国産旅客機 開発メリットは 

他産業へ技術波及効果も

「日本の航空機産業はどう変わるのでしょう」。ニッセイ基礎研究所上席研究員の百嶋徹さん(52)を訪ねると、台湾企業の創業者が唱えた「スマイル曲線」を見せた。業務工程をグラフの横軸に、利益率を縦軸にとると、人の笑顔の口元のような曲線になることからその名が付いた。経営学でも定着してきたこの曲線では完成品の組み立ての利益率が低く、部品生産や顧客サポートは利益率が高い。

「組み立ての利益率は低いですが、完成品を造り全体を束ねると顧客サポートの利益も得られます。国産旅客機は日本企業が高い利益を得る好機です。ただ裾野の広がりが不十分です。MRJは部品の6~7割が海外調達で、日本企業は十分に利益を取り込めていません」と百嶋さん。

航空機の部品点数は約300万点、小型機のMRJも約95万点。2万~3万点の自動車より産業の裾野は広い。

調べると、三重県が航空機産業の育成を検討していた。三菱重工業が2月、松阪工場をMRJの部品製造拠点にして取引先とのクラスター(産業集積)をつくると発表。県ものづくり推進課長の山路栄一さん(56)は「航空機産業で本県は愛知、岐阜両県に見劣りしており、今後は自動車に次ぐ産業の柱にしたい」と強調。国内外の大手部品企業の誘致や県内企業との連携、人材育成を進めるという。